院長のブログ

下肢静脈瘤の原因と対策~予防法と治療後のケアについて~

PC作業で座りっぱなしでいることの多い現代人。

夕方になると、足がパンパンになり、朝履いてきたブーツを履いて帰れるかが心配・・・そんな足のむくみを経験されている方も多いのではないでしょうか。

そんなむくみを解消しようと、リンパマッサージをしてみるも、どうも効果は今ひとつ。

『むくみの改善=リンパ液の流れをよくすること』と考えがちですが、老廃物を含む水分を回収して心臓へ戻すルートは、静脈系につながっているのです!

「静脈還流障害」という疾患があります。

これは下肢の静脈の血流が滞ることによって引き起こされる疾患です。

初期症状には

  • 足のむくみ
  • 足のだるさ
  • 足の重さ
  • 足の疲れ
  • 足のつっぱり感
  • 足の痛み

などがみられます。こうした症状は「一時的な疲れによるもの」と、考えてしまいがちですが、この状態を長期間放置すると悪化し、皮下の静脈が太く蛇行して足の表面に血管が浮き出てきます。

これが下肢静脈瘤です。

さらには皮膚が赤黒くなり、かゆさを伴ったり、皮膚潰瘍(かいよう)に至ることもあります。

下肢の静脈の大きな特徴(役割)とは?

そもそも「静脈」とはどんな働き、機能があるのでしょうか?

血管は、動脈と静脈にわかれており、血液が絶え間なく流れています。

血液は心臓のポンプのはたらきにより、動脈を通って酸素や栄養素などを全身に運び、二酸化炭素や老廃物を回収して、静脈を通り心臓に戻ります。シンプルにまとめると次のように役割を表現できます。

※「動脈」の主な機能:心臓から送り出された血液を全身の臓器や組織へと送り出す。
※「静脈」の主な機能:送り出された血液を心臓に戻す。

動脈と静脈

血液を体内でスムーズに循環させることは、とても重要です。

血液を心臓に戻す役割をもつ静脈の中で、「(ふくらはぎなど)下肢に存在する静脈」には他の部位の静脈と異なる大きな特徴があります。

それは

【重力に逆らって血液を押し上げ、心臓に血液を戻さなければならない】ということです。

上から下へ液体が流れるのは容易ですが、その逆には大きなエネルギーが必要です。では、どのようにして体は下肢の血液を心臓に戻しているのでしょうか。

実は重力に逆らって血流を戻すための「ポンプ」のような機能がふくらはぎにあるのです。

歩く、走るなどの動作をすると、足のふくらはぎの筋肉が収縮します。この動きが下肢の血液を心臓に戻す流れを促進しているのです。

この働きは「筋ポンプ」「ミルキングアクション」とよばれています。

よくふくらはぎが「第2の心臓」と呼ばれるのは、このポンプ機能があるからです。血液を循環させるための重要な役割をはたしています。

なお、下肢の静脈には、血流が重力によって逆流することなく心臓に戻るように弁があります。ポンプ機能や血管内に備わっている弁の働きによって体内の血液はスムーズに循環するようになっています。

静脈のしくみ

足がむくむと、「リンパマッサージ」を受ける人が増えていますが、これだけでは足のむくみを根本的に解消できない理由は、この静脈の働きを促すことが不足しているためです。

下肢静脈瘤ができやすい人とその原因

下肢静脈瘤ができやすい人は、様々な理由でふくらはぎの動きが鈍くなってしまうからと考えられますが、以下のような傾向があるといわれています。

・女性に多い。
・立ち仕事に従事する方に多く、また進行しやすい。
・30代の後半以降が発症が多く見られる。20代までの発症は稀。
・妊娠、出産をきっかけに発症しやすい(特に第2子の妊娠で発症するケースが多い)。
・近親者(親、姉妹など)に下肢静脈瘤がみられる場合、遺伝的に発症リスクがある。

足にかかる負荷以外にも、遺伝性のものも大きく関係しています。その他、肥満や高血圧、糖尿病の方も注意が必要です。

下肢静脈瘤の原因は、先程お伝えしたとおり、

むくみの状態を長期間放置

悪化
↓ 
皮下の静脈が太く蛇行して足の表面に血管が浮き出る

下肢静脈瘤

という流れになっています。

心蔵に向かって流れている下肢の静脈は、血液の逆流を防ぐために「静脈弁」というものがあります。

この「静脈弁」に機能が正常に働かないことで、血液が逆流したり滞留してしまい、静脈がふくれたり、瘤ができたりするのです。

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この逆流や滞留を防ぐために、ふくらはぎを動かすことが効果的、というわけです。

下肢静脈瘤の種類

大別して以下の4つに分けられます。

①伏在(ふくざい)静脈瘤

伏在(ふくざい)静脈瘤

足の表面近くにある静脈のうち、本幹となる太い血管が「伏在静脈」です。こぶのように拡張した状態を伏在静脈瘤といいます。

②側枝(そくし)静脈瘤

側枝(そくし)静脈瘤

伏在静脈より枝分かれした、さらに先の部分が拡張してきたものです。比較的、膝から下の部分に見られます。

③網目状静脈瘤

網目状静脈瘤

径2~3㎜の、皮膚の直下の小さな静脈の拡張で、網の目状の広がりを示します。比較的鮮明な青色です。

④クモの巣状静脈瘤

クモの巣状静脈瘤

皮膚の表面(表皮)の下の径0.1~1.0㎜の極めて細い血管が拡張したものです。盛り上がりが少なく、赤紫色になります。

下肢静脈瘤の予防やケアの方法

【ふくらはぎ運動】

ふくらはぎを集中して動かすことはスペースがなくても手軽に実行できます。次のふくらはぎ運動は長時間座りっぱなしの時は必ず1時間に1回はおこなうようにしましょう。

1. 立った状態で

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①足を並行に開いて、まっすぐ立ちます。
②できるだけ、かかとを上げてつま先立ちし、しばらくこの姿勢を保ったあと、かかとを元の位置に戻します。

2.座った状態で

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①イスにこしかけ、足首を伸ばしたり曲げたりします。
②足を地面から少し浮かせ、片足ずつ足首を回します。まず一方向に回し、次に逆方向も回します。

【エクササイズ】

全身を大きくつかうエクササイズは、自分の体調や体力を考慮し、無理なく実施することが大切です。痛みがあったり、静脈瘤で治療を受けているときは医師にも相談しましょう。スポーツでは、ジョギングや水泳、サイクリングなど、特に足を動かすスポーツがよいとされていますが、ここではより手軽にできる方法をご紹介します。

① ウォーキング

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・足にフィットした歩きやすい靴を履き、
・背筋を伸ばし、
・前を向いてアゴをやや引いて歩きます。
・肩は後ろに引き、胸を張る。
・歩くときは手を軽く振り、かかとから地面に着地するように。

無理に急いで歩くことはせず、ご自身のやや早歩きペースで!

② 足踏み運動

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立った姿勢で片足を上げ、太ももが地面と平行になるまで上げてから戻します。これを繰り返します。フラついたり不安定な場合は、手をテーブルや壁などにつきながら行ってください。

③ セミ・スクワット

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背筋を伸ばして立ち、両足を腰幅に開きます。膝を曲げ、イスに座るときのように背筋を伸ばしたままゆっくり上体を下げます。

膝は曲げすぎないように注意し、次に両足をゆっくり戻します。

④ 水中運動

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プールの水深が浅いところで、体のバランスをとりながらゆっくり歩きます。水中では浮力があるため、陸上よりも下肢にかかる負担が軽減します。

足や腰への負担が気になる方も比較的取り込みやすい運動です。内またやがに股で歩くとからだを痛めるおそれがあります。ひざがまっすぐ前を向いている状態を確認しながら歩きましょう。

【日常生活で取り入れたいこと】

忙しい毎日の中、特別な運動をしなくても、足のためにできることはあります。時間をみつけ、常に足を動かすよう意識しましょう。

① 姿勢

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長い時間座ったり、立ったままの場合は、時々足を動かしたり、姿勢を変えたり、基本のふくらはぎ運動をしてみましょう。

足を組むと血行が悪くなり、足の静脈圧が高まることがあるため、なるべく足は組まないように。また、血行を阻害しないよう、締め付けすぎない、ゆったりとした服を選ぶことも効果的です。

② 歩く

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・仕事や家でも、1時間に1回は歩きまわるようにしましょう。
・できるだけエレベーターは使わず、階段を使う意識も大切です。
・歩きやすい靴を用意し、会社の行き帰りに履いて通勤に歩きを取り入れたり、たまには、目的地の1駅手前で下車して歩くこともふくらはぎにいい運動になります。

③ マッサージ

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座っているときや、お風呂に入っているときに、指を使ってふくらはぎをマッサージ。

ふくらはぎの筋肉に刺激を与えることができます。また、シャワーの水流を利用してふくらはぎに刺激を与える方法も。

④からだ・特に下肢を暖める

冷えを取ることで筋肉がゆるみ、ふくらはぎのケアに効果大です。

④バランスの良い食事

食事制限をして低カロリー状態になっている人は、代謝が落ちて、冷えやむくみを悪化させている場合もあります。

主食・主菜・副菜を基本に、様々な食品を組み合わせ、1日3食規則正しく食べて代謝を上げましょう。食塩や脂肪は控えめにし、野菜や果物でビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかり摂ることをお勧めします。

《point!》
・特に食塩(ナトリウム)を摂り過ぎると、体の中に余分な水分を溜め込むので、むくみがちになります。

なお、ナトリウムを排泄する効果が高いのはカリウムです。昆布、ワカメ、とろろ昆布、抹茶(粉)、パセリ、アボカドに多く含まれています。

当院では下肢静脈瘤にお悩みの方をケアしています

無麻酔でおこなえ、入院が不要な①「硬化(こうか)療法」(静脈に血管を固める薬(硬化剤)を注射して、弾圧包帯で圧迫し、血管をつぶす治療)

弁不全を起こしている静脈ごと引き抜く②「ストリッピング療法」(足の付け根や膝などの皮膚を2~3㎝切開する。全身もしくは下半身麻酔下で行う。入院が必要だが再発率は低い)

といった現在主流の治療を受けられた方が、その後のご来院されるケースも少なくありません。

その治療自体がうまくいった場合(あくまでもアフターケア)、そうではない場合(①は再発が2~3割前後認められ、②は痛みや神経障害などが伴う)と、症状はそれぞれです。

「手術をするまでではないけれど、静脈瘤が気になります」

とおっしゃる方に対しても含め、まずは全身のバランスをきちんと整えて血液の循環を促した上で、血液が停滞しやすい股関節や骨盤まわりや、血液循環の要であるふくらはぎをゆるめることで静脈瘤の改善のお手伝いをしております。

「下肢静脈瘤を無くす」というよりは、「これ以上症状を悪化させない」、「静脈瘤による自覚症状(むくみやだるさなど)を改善」することを目的にからだ全体のバランス、血行不良などを整え施術します。

「部位」の不調の改善には、まず「全体」を整えることが先決です。その延長線上に、「部位」の改善が見られます。

 

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