「足がつる」と言うとき、患部は足の裏である場合もありますが「こむら返り」とは「ふくらはぎがつった状態」を指します。「こむら」とは「ふくらはぎ」のことをいうからです。
こむら返りとはどんな症状?
ふくらはぎがつる、という状況になった人は多いですし、この記事を読んだ人は経験がある人だと思いますが・・・特徴としては強い痛みを伴いながら、自分の意志とは関係なく筋肉が異常に収縮したり、痙攣(けいれん)したりする症状だといえます。
こむら返りが起きやすいシチュエーション
・シチュエーション1
陸上やサッカー、ラグビー、テニスなど足に負担をかけ続けるスポーツ中に起こる。
【主な理由】激しい運動を一定時間続けることで筋肉に疲労物質である乳酸が溜まり、筋肉の異常興奮が起きるためだと考えられています。
・シチュエーション2
ジョギングやハイキング、ウォーキングなどの軽い運動の際に起こる。
【主な理由】準備運動が十分でなかったり、普段使っていない筋肉に急に力を入れたりすることが原因である可能性が高いです。
・シチュエーション3
ふつうに寝ているときや寝転がっているときに急に起こる。
【主な理由】発汗や冷えによる血流の低下によるものと考えられます。特に睡眠中は血行不良になりやすいため、足がつるリスクが高まると言われています。
・シチュエーション4
妊娠中や過度なストレスを受けた際に起こる。
【主な理由】共に血行障害が原因です。お腹が大きくなることで血流滞る、自律神経が失調することで全身の血管が収縮する傾向があります。
こむら返りの様々な原因
「なぜ、こむら返りが起こるのか?」
これは、整体の施術中にとてもよく話題にのぼるテーマの一つです。理由は一つではないことが多いですが、よく原因から順にご紹介します。
①筋肉の疲労
最も多いと言われている原因です。
筋肉の酷使によって疲れすぎることで、うまく神経系統との連携がとれなくなり、筋肉が異常に収縮してしまいます。特にふくらはぎの筋肉は「歩く・走る・伸びあがる・跳ぶ・しゃがむ・立ち上がる」など足を使った運動をする時に、最もよく動く部位です。
また、長時間の立ち仕事やスポーツなどで、最も疲労物質=乳酸が溜まりやすい部分でもあります。 「足のむくみ」はふくらはぎに出やすいですが、これも代謝が上手くいっておらず、乳酸が溜まっている状態です。
乳酸が溜まると、こむら返りの大きな要因になります。
②血行不良
日中、血液は重力の影響を受けて上から下に落ちていきます。ただ、これでは脳へ供給される血液が不足してしまうので、歩いたり走ったりすることで、「足の方へ流れおちた血液」を反動を利用することで上へと戻していきます。
この時、ポンプの役割を果たすのがふくらはぎです。しかし、足は心臓から遠く、血流が悪くなりやすい部分でもあります。
更に足は冷えやすい部分でもあり、「足が冷える」ことで血管が収縮し、血行が悪くなります。この「血行が悪くなる」ということも、こむら返りの要因として考えられます。
③電解質バランスの乱れ
大量に汗をかいた後や下痢や嘔吐後などの脱水状態になると、ミネラルバランスが崩れて筋肉が興奮状態になるため痙攣を引き起こします。
このミネラルバランスの乱れのことを、「電解質異常」と呼びます。
電解質とはカルシウムやマグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの血液中にあるミネラルイオンのことを指します。
電解質は筋肉や神経の働きを調整する重要な役割を担っています。何らかの原因でこのミネラルバランスが崩れると、筋肉の異常な興奮状態である「痙攣(けいれん)」が起き、こむら返りが起こる要因になります。
④ビタミンやタウリンの不足
ビタミンB1やタウリンが不足していることも、足がつる・こむら返りの原因になると言われています。
ビタミンB1は卵や豚肉、豆類、牛乳などに多く含まれ、タウリンはイカやタコをはじめとした魚介類や貝類などに豊富です。これらの食品を意識的に摂取して、こむら返りを予防しましょう。
このように、日常起きるこむら返りのほとんどが、上の4つのいずれかもしくは複数が重なって起こります。
しかし、上記のような要因は一時的なものであって慢性的な病気ではありませんが、がんやうつ病など、血流障害を起こす病気はこむら返りの原因にもなり得ます。
あまり心配しすぎることはからだに障りますが、ご参考までに。
【こむら返りを引き起こしやすくなる病気】
・癌
細胞が「がん化」することで周囲の細胞を破壊し、血流障害を起こします。そして血流障害(血行不良)が起きると、むくみやこむら返りが起こりやすくなります。
・脳の病気(脳梗塞、脳腫瘍、くも膜下出血など)
筋肉を動かすために、脳から神経を伝って「電解質の放出量」や「腱の動き」などの指示が細かに出されています。 これらの病気にかかると、脳に障害が起こるため、脳から神経への指令系統も悪影響を受け、こむら返りを起こしやすくなります。
・心臓病
心臓に障害が起こるとダイレクトに血流量に悪影響が出ます。そのため筋肉細胞の代謝が滞り、最もよく動く筋肉の一つである「ふくらはぎ」に悪影響が出ますので、 些細な動作でも、こむら返りが起こりやすくなります。
・動静脈瘤(どうじょうみゃくりゅう)
血管に大きな血栓ができ、血液の流れが滞ってしまう病気です。特に大動脈にコブのような血栓ができて、血管が裂けてしまう「解離性大動脈瘤」は発症後直ちに外科手術をしなければならない、危険な病気です。
こちらも心臓病同様に、血流障害が起きますので、筋肉細胞の代謝が滞り、こむら返りが起こりやすくなります。ちなみに、この病気の最大の原因は、食生活の乱れと運動不足にあると言われています。
・うつ病、総合失調症
「うつ病」が原因となり、様々な体調不良を訴えるようになるのが「総合失調症」です。
「うつ」になると全身の血管が収縮する傾向があり、血流障害を起こします。 この影響で下肢(膝から下)の血流が滞り、こむら返りを起こしやすくなります。
・生活習慣病(高血圧症、動脈硬化症、糖尿病など)
特に「高血圧」「動脈硬化症」「糖尿病」は注意しなければならない生活習慣病です。
いずれも他の深刻な病気(がんや心臓病、脳卒中など)を高い頻度で合併するリスクがあります。生活習慣病は「血管性疾患」とも呼ばれています。
「血管性疾患」とは「血管」の機能低下や機能不全を起こす病気という意味です。 「血液と細胞液の間で、栄養素や老廃物をやりとりする機能」が低下すると起こりやすい「こむら返り」は、この血管性疾患でも引き起こされます。
・更年期障害
この病気は「初期の老化現象」であり、加齢によってホルモンバランスが乱れ、あらゆる体調不良を覚えます。
「こむら返り」はホルモンバランスの乱れで代謝に影響が出ると起こりやすくなります。そのため、ホルモンバランスを乱す「更年期障害」からも、引き起こされやすいと言えるでしょう。
現代ではホルモン療法で症状を軽くすることが可能ですので、「年だから...」と我慢をせず、病院に行って適切な治療をうけるようにしましょう。
尚、女性に多い更年期障害の症状には、
- ホットフラッシュ(顔や全身の火照り)
- 赤ら顔
- 多汗
- 急にイライラしたり不安になったりする「不定愁訴(ふていしゅうそ)」
- 動悸、息切れ、不整脈
- 高血圧
- 便秘
- 不感症
- 頭痛
また、男性の場合は
- ED(勃起障害)
- 脱毛症
- 夜間頻尿
- 前立腺肥大症
などが更年期障害で起こりやすい症状と言われています。
・肥満
体重が重くなりすぎると下半身に負担がかかり、血液やリンパ液の流れが悪くなります。その結果、筋肉細胞の代謝が滞り、こむら返りが起こりやすくなります
こむら返りの対処法
足がつったときには、まずその筋肉を伸ばすことが大切です。
夜中、寝ている時につった場合も、朝まで痛みを引きずらないために、 すぐにつった部分の筋肉を伸ばすことをおすすめします。
下のように、つった足のつま先を手でつかんで足裏が反るように 自分の方にゆっくりと引きましょう。
こうすることで、収縮したふく らはぎの筋肉を伸ばすことができます。急激に強く引っ張ると肉離れ を起こすこともあるので注意してください。
手が足先まで届かない場合は、タオルを足裏に引っ掛けて引っ張るとよいでしょう。
もし、タオルが手元になくつま先に手が届か ない場合、壁につま先を当てて徐々に踵を壁に近づけ、足首を手前に返していくと筋肉を伸ばせますよ!
少し症状が和らいできたら、ふくらはぎを下から上へ向かってやさしくさするようにマッサージしたり、ひざの裏をもむ、足首を回すなどの方法で血行を促し、硬くなった筋肉を ほぐしましょう。温めるのもおすすめです。
以下のツボを押すのもいいでしょう。
ゆっくりと息を吐きながらおこない、強く押さないことがポイントです。ゆっくりと息を吐きながらのツボ押しは、血流が改善し、マッサージ効果が高まります。
1.委中(いちゅう)
・ツボの位置
⇒ひざ関節の後ろ側の中心
・指圧の方法
ここは痛点なので無理をせず、さすったり軽く揉むぐらいの刺激を加えます。
2.足三里(あしさんり)
・ツボの位置
⇒膝の外側、お皿の下から指4本分下がった、いちばんくぼんでいる場所。向こうずねの外側。
・指圧の方法
⇒10秒から1分間ほど指圧します。ツボの位置がよくわからないときは、すねの外側の盛り上がった筋肉を親指の腹でさするようにマッサージします。
3.太衝(たいしょう)
・ツボの位置
⇒足の甲の、親指と中指の中間の線にそって指をくるぶしに向かって這わせていくとわかるくぼみ。
・指圧の方法
⇒10秒から1分間ほどの指圧を数回行います。
■こむら返りになりやすい、という人は当院でケアを
睡眠中に足がつるのは、普段運動をしている人もしていない人も関係なく起こることです。
急激な運動をした時の筋肉の過度な酷使と同じくらいにこむら返りのリスクが高いのは「筋肉量の減少」です。
全身の筋肉量は加齢や運動量の低下によって減っていきます。
すると運動能力が下がるというだけでなく、下半身の血流も低下することからビタミン・ミネラルなどの栄養分の補給が上手にできなくなり、それほど運動をしていない生活によって筋肉に疲労が生じて睡眠中に足がつるリスクはより一層高まります。
「いつもより少し多く動く」と「動いて使った筋肉をゆるめる」がワンセットになって筋肉量は少しずつ増加できます。
当院では毎日の生活の中でできるエクササイズのアドバイスと、それに適した施術をご提供することで、こむら返りのない快適な生活を応援します!
また、足の疲労が辛い方にはリフレクソロジーもおすすめです。