院長のブログ

梅雨に起こりやすい不調「こむらがえり、手足のしびれ、めまい」が改善した女性(42歳)の患者さんの実例と薬膳レシピ

患者さんのプロフィール

42歳女性(会社員)。学生時代にテニスで腰を痛め、坐骨神経痛が半年続いた。その後自然に治まったが、以降毎年梅雨時期になるとこむらがえりや手足のしびれ・めまいが頻繁に起こるようになる。

その他、胃腸炎や風邪など5月下旬~6月中は毎年不調。

今でも週1回テニスを続けており、運動は一年を通じ行っているが梅雨時期は心身の不調で休むことも多い。一日中パソコンを使い書類作成をしている。ここ一年くらい、パソコン操作時間が長くなると時期を問わずたまにめまいの症状が出るようになる。

来院のきっかけ、理由

1.ここ1年くらいめまいが頻繁に起こる

以前は不調になる梅雨時期のみめまいがあったが、1年くらい前からはパソコン作業が多く、首のこりが強くなると頻繁にめまいが起こる。特に、テニスなどで体を動かした後は顕著に起こる。

2.毎年梅雨時期になるとこむらがえり・手足のしびれが起こる

湿度が高くなってくると、毎年腰痛がひどくなり、それと共にこむら返りや手足のしびれが出る。

梅雨以外の季節もたまに腰痛を感じるが、梅雨時期は動けなくなることも。こむらがえりは睡眠時に起こる。(特に右ふくらはぎ)手足のしびれ感は、首のこりがひどくなると手先が、腰痛がひどくなると太ももの外側がしびれる。いずれも右側に症状が出やすい。

梅雨時期は胃腸炎を患ったり風邪を引きやすくなることもあり、気分も沈みがち。一年通して安定した体調を保ちたい。

当院の見立て

「1.ここ1年くらいめまいが頻繁に起こる」について

うなじ部分に極度のこりがあり、そこから首、肩にかけての筋緊張が強い。特に右側のこりが強く、右脇下が固くなっていて腕を上に上げる可動域が狭い。この極度のこりが、めまいの原因となる三半規管への血流を妨げていると見立てる。

「2.毎年梅雨時期になるとこむらがえり・手足のしびれが起こる」について

右ソケイ部と右殿部の筋肉がかなり固くなっており、冷えている。右側の骨盤が大きく外へ開いている。太もも外側のしびれ・こむらがえりは共に上記筋部位の固さや冷え、骨盤の開きにより坐骨神経が圧迫されているためと見立てる。

【坐骨神経痛が出る場所】

手先のしびれは、「1.めまいが頻繁に起こる」と同様、首のこり~右脇下が固くなっていて腕を上に上げる可動域が狭いことで、頚椎の神経が圧迫され出ている症状と考察した。

【首のこりにより手のしびれが出やすい場所】

・あご周辺の筋肉がとても固くなっている状態が見受けられ、これも「1.めまいが頻繁に起こる」と「2.手先のしびれ」につながっていると判断する。

・全体的にからだが冷えてむくんでいることで(ご本人は全く自覚がなかったとのこと)、さらにこりが強くなっていると見立てる。関節際のリンパ節(特に股関節と鎖骨下)を緩めることで冷えとむくみを改善し、梅雨時期に不調になりにくくするからだづくりができると見立てた。

【梅雨時期に腰痛が起こりやすい原因は?】

気温・気圧が下がり、湿度が高くなることで自律神経系、免疫系のトラブルが起きやすくなるためと考えられている。

また、気圧が低くなると、体内に「ヒスタミン」という物質が増加する。この「ヒスタミン」は血管を拡張する働きの他に、外部からの刺激に対して「炎症」を引き起こすという働きもあることから、梅雨時期と腰痛は深くかかわっていると言われている。

さらに、「ヒスタミン」は交感神経を刺激する。交感神経は筋肉や血管を収縮させるため、腰などの関節部分の血行不良が引き起こされて疲労物質が蓄積し、それが痛みとなって現れると考えられている。

また、梅雨時期は湿度が上がることで「ヒスタミン」による血管付近の水分を滲出(にじみ出ること)させる作用も手伝って、むくみが起きやすくなる。むくみは血行不良を引き起こす原因となり、疲労物質が溜まって腰痛になることも考えられる。

実際に行った施術

背面側

①手のしびれ及びめまいの原因と見立てた、こりの強い「僧帽筋」「肩甲挙筋」「半棘筋」「板状筋」を緩める。最も筋緊張が高かった右腰部を入念に緩める。

また、うなじ付近の「風池穴」「天柱穴」「完骨」や「風門穴」を併せて施術する。

②足のしびれや腰痛の原因と見立てた、「脊柱起立筋」「腰多裂筋」

「最長筋」「腸肋筋」

「大殿筋」「中殿筋」「小殿筋」

を緩める。

※①②とも右半身に強いこりが出ていたので、左右のバランスを取るよう、右側を多く緩めて調整する。

表側

①ソケイ部、ソケイ靱帯付近や「縫行筋」「長内転筋」を緩め骨盤調整を行う。

②下腹部の冷えやむくみを軽減させるため、「腹横筋」「腹斜筋」付近をゆっくりしっかり押圧する。

大腸の硬さを感じる場所は特に入念に施術する。

③「鎖骨下筋」「胸鎖乳突筋」「大胸筋」を緩める。

④顔面を押圧。あご周りの固さを緩めるために「咬筋」「側頭筋」、

めまいや眼精疲労による筋緊張を緩めるために「太陽穴」「晴明穴」など以下経血を押圧。

※①③は右側に強いこり有り。左右バランスを取るよう、右側を入念に施術する。

横向き(体側)

①右側骨盤の開きが大きかったので、左大腿骨の際~左脚外側のラインをゆるめる。洋梨のように臀部の側面に凸があるので、坐骨神経ラインをあわせてほぐし、脚のラインをスッキリさせる。

②右脇下の冷たさあり。「前鋸筋」「小胸筋」

とリンパ節を意識して入念に弛緩させる。

施術の結果

結果、14日に1度、計6回ご来院で、「1.ここ1年くらいめまいが頻繁に起こる」の症状は全く出なくなる。

その後は月に一度、初回から合わせ計10回ご来院で梅雨時期になり、「2.毎年梅雨時期になるとこむらがえり・手足のしびれが起こる」症状が一度も出ずに梅雨明けを迎えた。主な変化は以下の通り。

・2回目:

初回施術翌日は泳いだ後のようなだるさと筋肉の張り感が強く起きられなかったが、3日後くらいからからだが一気に軽くなる。朝起き抜けにいつも感じていた首の痛みが毎日ではなくなった。「1.ここ1年くらいめまいが頻繁に起こる」の症状は一度のみ。(翌日が雨だった)

・3回目:

今回は施術後にだるさや筋肉の張り感は出なかった。テニス後に腰痛が出る。いつもなら一週間は痛み続けるが、翌朝には治っていて驚いた。テニス後のめまいも起こらなくなり快適。

・4回目:

岩盤浴に行き、臀部と腹部が冷えていることをはじめて実感する。その後、腹巻きを着けたり股関節のストレッチをするように。たまに腰痛は出ているが、おしりが小さくなって今まではきにくかったボディラインの出るスカートが着られるようになりとても嬉しい!
ただ残業が続いたことから、久々めまいが出る。

・5回目:

雪が降り全身が冷えたが、気圧が下がった影響も出ず、首や腰の痛みがなかった!

毎年この時期は手足のしびれが気になるが、今年はまだ出ず。鼻風邪を引いたが、ひどくならず完治。このまま春になってほしい。

・6回目:

年明けに一度めまいが出た後は、まったく症状がない。テニスのコーチに「フォームがとてもきれいになりましたね!」と褒められる。

そういえば、テニス後の腰痛やめまいが最近全く気にならない。テニスをしている時や、長時間パソコン作業が続くとあごが痛かったことを思い出す。あの痛みはかみしめていたからなんだなと実感。

・7回目:

久々岩盤浴へ。まだまだ寒いこの時期に臀部も腹部も冷えていないことが嬉しかった!

・8回目:

年に一度の健康診断で、体重2キロ減・身長1.2センチ高くなっていた。(身長は低くなった分が戻る)

身長計に乗り、顎が前へ出ている姿勢が自然と背中をまっすぐに保てるようになったことを実感する。春の不安定な陽気にも、めまいが全く出ないことが驚き。腰はたまに違和感が出るものの、痛みには至らず翌日は快方へ。

・10回目:

毎年不調が始まる5月下旬になったが、特に症状は出ない。以降、梅雨に入ってもいつもどおりに過ごせた。会社やテニスを一度も休まず1ヶ月過ごせたことが本当に嬉しい。こむらがえりや手足のしびれもないので、1泊2日で箱根へ。

※以後も月に一度のご来院を続け、翌年の梅雨時期も快調に過ごされる。

まとめ

・関節際のリンパ節(特に股関節と鎖骨下)を緩めることで冷えとむくみを改善し、梅雨時期を快調に過ごせるからだづくりができた。

・あご周辺の筋肉他、全身に力が入りやすくからだ全体の筋緊張をほぐすことで、呼吸の改善や自律神経のはたらきがスムーズになる。首のこりが改善したことでめまいがなくなる。こりが強くなっても、一晩寝ることで回復する状態を保てるようになった。

・右骨盤の開きが整い、右半身や右体側にばかり負担がかからなくなったことで、体幹を上手に使えるようになる。腰痛・手足のしびれの軽減や姿勢の改善には特に効果的だった。

院長からのコメント

ご自身のおからだを冷静に俯瞰されお付き合い頂けたことで、最終的にはおからだそのものの最良のバランスを取り戻して根本的に不調を改善できました。

めまいなどの体調不良と、首痛・腰痛などのからだの不調が同時に出る辛さは心理的にもとても堪え、不安定な精神状態になります。

左右どちらか一方に強いこりが出る症状は、自律神失調時によく見られます。すると、からだに余計に力が入ったり呼吸が浅くなったりで、さらに筋緊張が強くなり不調に陥ります。

心身は一体です。

一つ症状が良くなると、今回のように進んで腹巻きをしたりストレッチを始めたりしてご自身のからだを見つめ直し、大切に扱えるようになります。そうなると自分の心身に自信がつき、症状がみるみる改善していくものです。顔つきまで生き生きと変わっていくから不思議です。

今回の症例は「梅雨時期」でしたが、それぞれ不調の時期はお持ちかと思います。

その時期に「予防」の策を取ることも一つですが、その他の時期におからだを改善させていくことで、一年通じて気持ちよく過ごせるからだ作りの大切さや楽しさを再認識する症例でした。

東洋医学の観点から~薬膳レシピのご紹介~

東洋医学では筋(すじや腱など)のはたらきは「肝」の血によって維持されていると考えられています。

「肝」は血を貯蔵して全身の血量を管理しており、血量管理のバランスが崩れると、関節の曲げ伸ばしができなくなったり、筋肉のけいれんやしびれ、震えなどが起こります。

今回の症例では「めまい」という形で、血虚(けっきょ:血の不足した状態)の症状も出ているため、肝血の不足を補うとからだの内側からも調子を整えることができます。

肝のはたらきを良くするセロリを使った薬膳をご紹介します。

※出典 『作り置き薬膳』

セロリとじゃこの当座煮~栄養価の高い葉も無駄なく使った食物繊維とカルシウムが豊富な箸休め~

材料

セロリ(葉付き) ・・・3本(300g)
ちりめんじゃこ・・・30g

A

酒 ・・・大さじ2
しょうゆ ・・・大さじ2
みりん ・・・大さじ1
砂糖 ・・・小さじ1

その他準備

しょうゆ ・・・小さじ1
サラダ油 ・・・大さじ1

作り方

①セロリは茎と葉に分ける。茎はすじを取り、5mm幅の斜め切りにする。葉はざく切りにする。

②フライパンに油とちりめんじゃこを入れ、弱めの中火でカリッとするまで炒める。

③セロリの茎を加えてさっと炒め、しんなりとしたらAを表記の順に加え、葉も加える。汁けがなくなるまで炒り煮する。仕上げにしょうゆをふり混ぜる。(好みで七味トウガラシをふってもよい。)

もともと薬草として中国から伝わったセロリは、独特の香り成分が肝にこもった熱や、上がった気を降ろし血圧を下げて精神安定を促す作用など、幅広い薬効が特徴です。

 

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