院長のブログ

冬の冷え・コリは血流がカギ!薬膳×セルフケアでめぐりを良くする方法

こんにちは。院長の小澤です。

12月も下旬に入り、本格的な寒さがやってきましたね。
今年は暑い時期が長く、寒さが急に訪れた分、例年以上に
「肩がガチガチ」「手足が冷たくて眠れない」「なんだか体が重い」
というお悩みをよく伺います。
これらの不調、実は「血流」が大きく関係しているかもしれません。
今回は、国際薬膳師でもあるわたくしが、
中医学の視点から血流と体の不調の関係をお話しし、
食事とセルフケアの両面からできる対策をご紹介します。

 

冬に血流が悪くなる理由

寒くなると、
私たちの体は熱を逃がさないように血管をキュッと収縮させます。
これは体を守るための自然な反応ですが、
その分、血液のめぐりは悪くなりがちです。

また、冬は「血流が悪くなる条件」がいくつも重なる季節です。

条件①

体を動かす機会が減る 寒いとどうしても外出がおっくうになりますよね。
運動量が減ると、筋肉のポンプ作用が働きにくくなり、
血液を押し流す力が弱まります。

条件②

水分摂取が減る 夏と違って喉の渇きを感じにくいため、
水分を摂る量が自然と減りがちです。
水分が不足すると血液がドロドロになりやすく、流れが悪くなります。

条件③

寒さで体が縮こまる 寒いと無意識に肩をすくめたり、
背中を丸めたりしていませんか?
この「縮こまり姿勢」が続くと、筋肉がこわばって血管を圧迫し、
血流を妨げてしまいます。

条件④

厚着や暖房による「隠れ冷え」 。
暖かい室内から寒い屋外へ出たり入ったりを繰り返すと、
血管の収縮と拡張が頻繁に起こり、自律神経に負担がかかります。
また、暖房の効いた部屋で汗をかき、その汗が冷えて体を冷やす…という
「隠れ冷え」も起こりやすくなります。

条件⑤

日照時間が短くなる 冬は日照時間が短く、太陽の光を浴びる機会が減ります。
日光は自律神経のバランスを整えるのに大切な役割を果たしているため、
これも血流に影響を与える一因です。

...こうして見ると、
冬は体にとって「血流が滞りやすい季節」だということがわかりますね。
だからこそ、意識的にケアしてあげることが大切です。

 

  中医学から見た血流の悪さには「2つのタイプ」

「血流が悪い」と一口に言っても、
中医学では大きく分けて2つのタイプがあると考えます。

①「血瘀けつお」タイプ ― 血がドロドロで滞っている

血はあるけれど、流れが悪くなっている状態です。
川にたとえると、水量はあるのに、流れが淀んでいるイメージですね。

こんな方に多いです:

・からだの特定の場所が刺すように痛み、夜に悪化する
・皮膚のくすみ、シミ、そばかすなどが気になる
・唇や爪の色が暗い(紫色っぽい)
・首や肩がこりやすい
・舌の裏側に血管が太く浮き出る
・便秘
・月経期間が長めで、量は多く、色は黒っぽい赤色

②「血虚けっきょ」タイプ ― 血が足りない

そもそも血の量が不足している状態です。
川の水量自体が少なくなって、流れが弱くなっているイメージです。

こんな方に多いです:

・めまい、立ちくらみ(貧血気味)、動悸、目のかすみ
・睡眠が浅い、よく夢を見る
・物忘れが多い
・顔色が悪い(青白い)
・髪がパサつく、爪が割れやすい
・ちょっとしたことで不安になる
・冷えを感じやすい
・イライラしやすい

 

「補う」と「巡らせる」どっちが先?血流ケアの落とし穴

先程の「血瘀」と「血虚」は、一見相反するようで、
「血流が悪い」という観点からみれば、同じグループに属します。
【陰極まりて、陽となる】という言葉通り、
「血虚」と「血於」は表裏一体です。
一言で「血を増やす」ケアをしても、かえって逆効果になることもあります。

ケース①:血瘀タイプの人が「補う」ことばかりすると…

血瘀タイプは、血はあるけれど流れが滞っている状態でしたよね。
ここで「体に良さそうだから」と
補血の食材ばかりをたくさん摂るとどうなるでしょう?

川にたとえると、流れが悪くて淀んでいるところに、
さらに水を足しているようなもの。
渋滞がひどくなって、ますます流れにくくなってしまいます。

このタイプの方は、まず「巡らせる」ことを意識して、
流れを良くしてから補うのがポイントです。

ケース②:血虚タイプの人が「巡らせる」ことばかりすると…

では逆に、血虚タイプの方が「とにかく巡らせよう!」と
活血(血を巡らせる)食材やケアばかりしていたらどうでしょう?

こちらは川の水量自体が少ない状態でしたね。

少ない水を一生懸命かき回しても、川は潤わないですよね。
それどころか、少ないエネルギーをさらに消耗してしまい、
疲れやすくなったり、めまいがひどくなったりすることもあります。

このタイプの方は、まずは「補う」ことで血の材料を満たしてから、
巡らせるケアを加えていくのがおすすめです。

「じゃあ、わたしはどうすればいいの?」と思われた方、
答えはシンプルです。
まず、自分がどちらのタイプにより近いかを知ること。
前のセクションでご紹介したチェックポイントを参考に、
ご自身の体の状態を観察してみてください。

そのうえで、

血瘀タイプ → まず巡らせる、それから補う
血虚タイプ → まず補う、それから巡らせる

という順番を意識すると、ケアの効果を感じやすくなります。

先程お話した通り、「血於」と「血虚」は同じ仲間。
実際には「血瘀も血虚も両方ある」という方がとても多いです。
どちらもあてはまるけれど…という方は、
強いて言えば、
「血虚」と「血於」、どちらがより自分の状態に近いかを
先程のリストと照らし合わせて、よく観察してみましょう。
(舌や爪、髪の状態で判断するのが分かりやすいです)

「補う」と「巡らせる」をバランスよく、
どちらか一方に偏らず、両方の視点を持つことが、
これが、めぐりの良い体への近道になります。

 

血流の悪さは、意外な不調とも関係しています

「血流」というと、冷えや肩こりを思い浮かべる方が多いと思いますが、
実は、漢方の世界では「血液循環を促す」タイプの処方が、
耳鳴りや足がつる症状に使われることがあるのをご存知ですか?

これは、中医学では「血」が全身のすみずみに栄養を届け、
臓腑や筋肉、感覚器官を養っていると考えるからです。

血の巡りが悪くなると、
一見関係なさそうな場所にも不調が現れることがあります。
耳鳴り、足のつり、目のかすみ、物忘れ…
こうした症状の裏に、血流の問題が隠れているかもしれません。
「まさか関係あるとは思わなかった」
という症状が、血流ケアで楽になることも珍しくありません。

 

血流を良くする食材 ― 薬膳の知恵から

ここからは具体的な対策をご紹介します。
まずは毎日の食事に取り入れやすい食材から見ていきましょう。
薬膳というと
「特別な食材が必要なのでは?」と思われがちですが、
実はスーパーで手に入るものばかり。
いつもの食事に少し意識を加えるだけで、立派な薬膳になりますよ。

【体を温めて血行を促す食材】

冷えた体では血液もスムーズに流れにくくなります。
まずは体を内側から温める食材を意識してみましょう。

おすすめ食材

生姜:温め食材の代表格。生で使うと発散作用、加熱すると体の芯から温めます

長ネギ・玉ねぎ:血行促進に加え、風邪予防にも

ニラ:お腹を温め、冷えからくる腰痛にも良いとされています

にんにく:強い温め作用があり、疲労回復にも

シナモン:手足の冷えが強い方に特におすすめ

羊肉:体を温める力が強く、冬の薬膳では定番

鶏肉:羊肉より穏やかに温め、胃腸にもやさしい

エビ:腎を温め、足腰の冷えやだるさに

八角・山椒・胡椒:料理のアクセントに使いやすいスパイス類

[取り入れ方のヒント]

  • 朝一番の白湯に生姜スライスを加えて「生姜白湯」に
  • 味噌汁の仕上げにすりおろし生姜をひとかけ
  • 鍋料理には羊肉や鶏肉を主役に、ネギ・ニラをたっぷりと
  • 紅茶やココアにシナモンパウダーをひと振り

 

【血の巡りを良くする食材(活血かっけつ)】

「血瘀」タイプで、血が滞りやすい方におすすめの食材です。
サラサラと流れる血を目指しましょう。

おすすめ食材

黒きくらげ:血を巡らせる代表的な食材。食物繊維も豊富

玉ねぎ:血液サラサラ効果は有名ですね

青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマなど):EPAやDHAが血流をサポート

:昔から「血をきれいにする」と言われています

らっきょう:酢漬けにすれば酢との相乗効果も

紅花(べにばな):お茶として取り入れやすい

ターメリック(うこん):カレーでおなじみ、血行促進作用があります

小豆:むくみを取りながら血の巡りも助けます

:果物の中では珍しく活血作用があるとされています

黒糖:白砂糖の代わりに使うと温め+巡らせる効果

[取り入れ方のヒント]

  • 黒きくらげは水で戻して、卵と一緒に炒めるだけで一品に
  • 週に2〜3回は青魚を食卓に(缶詰でもOK!)
  • 酢の物やマリネを副菜の定番に
  • ドレッシングを手作りするなら酢多めで
  • カレーを作る時はターメリックを意識して多めに
  • コーヒーや煮物の甘みを黒糖に置き換える

 

【血を補う食材(補血)】

「血虚」タイプで、血が不足しがちな方におすすめの食材です。
血の材料をしっかり補給しましょう。

おすすめ食材

なつめ:補血の代表格。そのまま食べても、お茶にしても

クコの実:目の疲れにも良く、彩りもきれい

黒ごま:髪や肌の潤いにも。すりごまが吸収◎

黒豆:腎を補いながら血も増やす

レバー(豚・鶏):即効性のある補血食材

赤身の肉(牛肉など):良質なタンパク質と鉄分

:手軽に血を補える優秀食材

ほうれん草・小松菜:鉄分豊富な緑黄色野菜

にんじん:血を補い、目の健康にも

ぶどう・プルーン・ブルーベリー:果物で補血するならこの3つ

ひじき:鉄分とミネラルが豊富

牡蠣:「海のミルク」と呼ばれる栄養の宝庫

[取り入れ方のヒント]

  • なつめは刻んでお粥やスープに入れると食べやすい
  • クコの実はお茶に数粒入れるだけで手軽に摂取
  • 黒ごまは「すりごま」にしてご飯にかける習慣を
  • レバーが苦手な方はレバーペーストをパンに塗って
  • 朝食の定番に「卵かけご飯+黒ごま」
  • ほうれん草と卵の炒め物は補血の王道コンビ
  • おやつ代わりにプルーンやなつめを
  • 黒豆茶を水分補給に取り入れる

 

【タイプ別おすすめ組み合わせ例】

血瘀タイプの方(巡らせたい):
青魚+玉ねぎ+酢 → 例:アジの南蛮漬け、サバの酢煮

血虚タイプの方(補いたい):
ほうれん草+卵+黒ごま → 例:ほうれん草と卵の炒め物に黒ごまをたっぷり

どちらも気になる方(補いながら巡らせたい):
黒きくらげ+卵+にんじん → 例:卵と黒きくらげの中華炒め

 

血流を良くするセルフケア ― 整体師の視点から

食事と合わせて、体の外側からもアプローチしましょう。
ご自宅で簡単にできるセルフケアをご紹介します。

①肩甲骨まわりのストレッチ

肩甲骨まわりには大きな筋肉が集まっていて、
ここがほぐれると上半身の血流がグッと良くなります。

Point

 

②かかと上げ下げ運動(カーフレイズ)

ふくらはぎの筋肉を動かすことで、
下半身に滞りがちな血液を心臓に押し戻す力が高まります。

Point

10〜20回を目安に、朝晩行うのがおすすめです。
動きを大きく、急がず、ゆっくり行うことで筋肉がしっかり使われます

 

③股関節をしっかり動かす「もも上げ運動」

股関節を大きく動かすことで、骨盤まわりの血流が促進されます。
冷えやすい下腹部や腰まわりを内側から温めるのに効果的です。

Point

左右交互40回(左右各20回)行いましょう
勢いをつけず、一回一回丁寧に持ち上げると効果的です
腰が反らないよう、下っ腹の筋肉を使って足を持ち上げること!
慣れてきたら回数を増やしたり、少しテンポを上げてもOK。

 

④ツボ押し

血流に関係の深いツボを刺激するのもおすすめです。
気持ちいいと感じる程度の圧で、5秒ほどゆっくり押すとよいでしょう。
ツボに温灸を当てると、さらに効果UP!

 

食事×セルフケア、両方からアプローチする理由

わたくしが薬膳と整体、両方の視点を大切にしているのは、
体は内側と外側、両方から整えることで変わりやすくなる
日々の施術を通じて実感しているからです。

「体は食べたものでできている」とは
よく耳にする言葉ですが、本当にその通りだと思います。
私たちの血も、筋肉も、肌も、髪も、すべては日々の食事から作られています。
今日食べたものが、数ヶ月後の自分の体を作っている…
血流を良くしたいなら、まずは血の材料をしっかり届けてあげること。
栄養が届いていれば、肌も張りが出て、何だか若々しい!
体の内側から届ける「食」の力は、何にも代えがたいものがあります。

また、これもよく耳にする言葉ですが、
「筋肉は裏切らない」。
筋肉礼賛されている、世のマッチョな方々には到底及ばずとも、
筋肉は動かせば動かしただけ応えてくれることは、
老若男女問わず、誰にでも当てはまります。
血流を押し流すポンプ役として、コツコツ続けたセルフケアや運動は、
必ず体に良い変化をもたらしてくれます。
逆に、動かさなければ筋肉は衰え、血流も滞りやすくなる。
「最近、体が重いな」「冷えやすくなったな」と感じるのは、
筋肉からの小さなサインかもしれません。

細々でも、毎日はできなくても、コツコツ続けていると
「おや?何だか変わってきたぞ。」
という良い変化が起こります。

起こらない時は…方向性の確認が必要なのかもしれません。
「自分のタイプがよく分からない」
「これで合っているのかな?」
そんな時は、一人で悩まず、誰かに聞いてみるのも一つの手ですよ。
体のこともそうですが、そもそも自分のことは、
意外と自分では分かりにくいものです。
お気軽にご相談ください。

 

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