一般的に、からだはやわらかいほうが良いイメージがありますが、「元来、からだがかたい!」というお声も聞こえてきそうです。
「幼稚園時代にすでにからだが全く前に倒れなかった・・・どうせ、もうやわらかくはならないんでしょ。」というあなた。
そもそも、なぜからだがかたいのか。
かたい人とやわらかいひとの違いはどこにあるのか。
そのメカニズムを知るだけでも、からだの使い方が変わってきます。
からだがやわらかい・かたいのしくみ
からだの柔軟性を決めるものには二つの要因があります。
1.筋肉の伸縮性
からだのやわらかさに関係するのは、骨格筋(走る投げる跳ぶの様な運動に関与する筋肉)です。
骨格筋は筋束(きんそく。筋肉繊維の束)がいくつも集合して一つの筋肉を形成しています。
この筋束は更に細かい筋繊維(きんせんい)に分けられます。
少しイメージしづらいかもしれませんが、上記の図のように筋繊維は交互に噛み合う、入れ子のような構造になっています。これらの筋繊維は脳からの刺激を受けると収縮します。
この筋繊維が長時間縮んだままでいると、そのまま伸びにくくなってしまうことがあります。そうすると徐々にその筋繊維~筋肉は固く硬直してしまいます。
筋繊維の柔らかさや可動範囲は、遺伝や個人の運動経験の差異、、筋肉の手入れや体温など様々な要因で変化しますが、日頃の刺激・ストレッチによってある程度柔軟にすることができます。
「お風呂上がり筋肉ストレッチを毎日やった結果、柔らかくなった!」というのは、この筋繊維の噛み合わせ部分の可動範囲を広げられたからですね。
また、「筋肉の質」という面から考えると、かたい筋肉の場合、筋肉は極端に肥大していて、それらを構成している筋線維一本一本も非常に太く、血管内に大量の血液が詰まっている状態になっています。
本来、心臓から離れた部位では 血管周辺の筋肉が運動することで血管を直接ポンプして血流を促しています。
かたい筋肉は伸縮の動きが少なく、血行が悪くなるため、排出されるべき老廃物が筋肉に溜まります。これが筋肉が伸びない=からだがかたい原因です。
いっぽう、やわらかい筋肉はさほど筋肉が太くなくても、血流が筋肉の動きを最大限に引き出せる程十分ある状態なので、持続的な負荷をかけても筋肉が疲れにくいという特徴があります。
調子の良し悪しで筋肉の硬さ柔らかさが変わるのは、こういった血流の良し悪しが関与しているものと考えられます。
2.関節の可動域
からだのやわらかさに関係するもう一つのポイントは、「関節」の可動域です。
関節周囲の組織の多少やその柔らかさ、関節構造の微妙な差異等によっても決まります。特に関節を固定している腱の能力によって、関節の可動域がかなり異なるようです。
筋肉は骨に付着しています。筋肉は骨に直接くっつく場合もありますが、ほとんどが腱(けん)と言われる組織に変わり、上図のように骨に付着しているのです。
この腱の骨への付着部位には、人体のほかの構造と 同じようにかなりの個人差があります。これが、からだの柔軟性を決めているのです。
例えば、上図のように腕を曲げたとき、運動軸から遠い位置に腱が付着している人では、モーメントアーム(M部分)が長く、関節運動の角度が少ないので、関節の運動には不利に作用します。
つまり、柔軟性が出にくい状態です。
いっぽう、モーメントアーム(M部分)が短い人は、関節運動の角度は広く取れますから柔軟性が出やすいのです。
ところが、腱の付着が関節から遠いことは、運動すべてに有利にのみ作用するとは限りません。
例えば、腱の付着部位が関節から遠いほうがパワーリフティングのような、重いものをゆっくり挙げるような遅い動作には有利にはたらきます。
からだがかたい人とやわらかいひとの仕組みの違いや、関節のかたさには個人差があります。からだがうまく動いてくれない、とう人はそれぞれ固有の特徴を確認することが大事です。
からだのバランスチェックは当院で
おからだを「やわらかくする」ことが最終目的ではなく、「どんな動きができるようになりたいか」「どのスポーツが上達したいのか」といった、ご自身のおからだがより快適に動けるようになることで、「今まで出来なかったことが出来るようになった!」という達成感と充実感が、日々のストレッチを長続きさせます。
静的ストレッチ、動的ストレッチともにまずは、ご自身がどの部位がかたいのかを感じることがとても大切です。春を目前に心も体も軽やかに!
おからだのバランスチェックやご相談に、是非当院をご活用下さい。