寝違えの痛みが、なかなか取れないのはなぜ?
寝違えは睡眠中に無理な姿勢を取ったり、可動域を超えた首の動かし方をすることで、首の筋肉や周辺の関節に負担がかかることで起きることが多い症状です。
たいていの場合は一週間程で回復していきますが、なかなか痛みが取れない場合は首をどの方向に動かすと痛いのかを観察します。
①首を向けた方向と反対側が痛む (例:右に向くと左首が痛む)
②首を向けた方向と同じ側が痛む (例:右に向くと右首が痛む)
①の場合は筋肉を痛めた(筋違え)ことで痛みが起きています。
筋肉性のものは湿布で冷やしたり消炎鎮痛剤を服用するなど、筋肉の炎症が治れば痛みはなくなっていきます。
痛みがなかなか取れない場合、②の症状が多い傾向にあり、②は首や肩の関節が圧迫され痛みを発症していることが考えられます。
からだのバランスが崩れた結果、首の関節に痛みが生じていますが、原因は首だけではありません。肩や肩甲骨、背中をよく伸ばし、首や肩まわりの圧迫された関節を緩める必要があります。
痛みがある首ではなく「首と連動して動く部位の筋肉をほぐす」「骨盤の歪みなどからだのバランスを整える」ことで関節の圧迫が緩和されて痛みが改善することが多いです。
当院の「なかなか改善しない寝違え痛」への基本アプローチ
当院では、痛みを強く感じる首そのものはあまり押圧せず、からだのバランスの崩れや、首と連動して動く肩周りや背中などの不具合を見極めてその部位を調整します。
「なかなか改善しない寝違え痛」に特に効果的な部位は
・腋窩(えきか:脇の下)
・鎖骨下筋(さこつかきん)
です。
腋窩の脇には「腋窩神経」が通っており、この神経は頚椎(けいつい:首の骨)下部の神経から分かれて枝になった一部分です。
腋窩神経を圧迫している脇下の筋肉を緩めるために、鎖骨下筋や肩甲骨をよく動かし、結果首の痛みを軽減させます。
その他、左右で肩の高さが大きく異なるなど首周りの歪みが大きく見られる場合は、骨盤の左右の開き具合や腰の左右高さの違いを観察しながらからだ全体のバランスを取ります。
そうすることで、背中と胸周りの均衡が取れ、脇の下や肩周りの可動域が広がって首の痛みも治まっていきます。
当院の不調別対処法(例)
1.腕のしびれ・胸の圧迫感×寝違え
頚椎下部(首下方から肩にかけて)の筋肉が極度に固くなっていることで、
・首の可動域が狭く寝違えやすい
・腕の神経が通る場所が圧迫されるので、しびれが出る
・肩が内側に入るため、胸周りが締めつけられるように苦しくなる
という症状が出ていると考えられます。
頚椎下部から肩にかけての筋肉を緩めると同時に、肩甲骨、対になって動いている鎖骨下筋や、胸周りを広げるのに有効な胸鎖乳突筋を共に弛緩させ、腕のしびれや胸の圧迫感を伴う寝違えを改善します。
2.ストレートネック×寝違え
通常30~40度ある頚椎の生理的前湾角度が30度以下の首を「ストレートネック」と呼びます。
ストレートネックになる主な要因は、長時間のパソコン作業やスマホ操作など、慢性的なうつむき姿勢を取ることで首の生理的なカーブが失われることが挙げられます。
首が真っ直ぐでしなりが少ないため、頚椎への少々の負荷でも衝撃を逃がすことができず、寝違えやすくなります。
腕のしびれや胸の圧迫感の施術と同様に、肩甲骨や胸周りの筋肉を緩めます。
また、ストレートネックの場合によく見られる「猫背」姿勢や、お尻が下がった状態になることで「ぽっこりお腹」の状態になったからだを整えます。
骨盤は軽く後傾して前に出た状態になっていることが多く、
骨盤バランスを矯正することで背中の猫背が改善され、首の可動域が広がって寝違え痛を改善できます。
3.慢性の首痛×寝違え
日常生活の些細な姿勢の積み重ねが首痛を慢性化させていることは間々あります。
例えば
・お子さんを抱っこする際や、荷物やカバンを持つ時、お財布からお金を取り出す時などに骨盤や下腹部で支える(ひっかける)癖がある。
・立った状態でスマートフォンを見たり、本や雑誌をよく見ることがある。
いずれも、骨盤と首とのバランスを取ろうとして 、背中が後傾→ 腰が反り → 骨盤が前に出てしまうのです。
固まっている首・肩周りはもちろん、からだをうまく支えられない原因となる腹部を緩めることで、体幹が上手に使えるようになり、背中や首のしなりが生まれて慢性の首痛や寝違えの頻度を大きく減少させることができます。
4.頭痛・めまい×寝違え
頭痛が起こる際に首痛も併発することは少なくありません。
また、このようなときには、頭痛と首痛の他にも例えばめまい、倦怠感や肩こりといったものが多いですが、こうした症状だけではなく眠れなくなったり肌が荒れたり、さらには間接的な要因として髪の毛が抜けやすくなったりすることも考えられます。
これらの現象は主に首から頭部にかけての血行不良が原因です。
頭痛や首痛を伴う症状の原因はこの「血行不良」と周辺の筋肉のこりによるものです。先の対処法同様、首・肩・背中の筋肉をゆるめからだ全体のバランス調整をする他、首周辺にも多くある頭痛を和らげる経穴(ツボ)
・天柱(てんちゅう)
・風池(ふうち)
・百会(ひゃくえ)
を押圧して、寝違えを予防します。
なかなか改善しない寝違え痛でお悩みの方は当院へ
痛みの原因を突き止め、骨盤をはじめおからだ全体のバランスを取って寝違え痛を改善することはもちろんですが、その後も首痛のない快適な生活を送るために、「適切な枕や寝具を使い、寝返りを上手に打てるようにしたい」「腹式呼吸を取り入れて、体幹を鍛えたい」など幅広いご要望にお応えいたします。