寝違えはとても辛いですよね。すぐに回復してくれればまだよいのですが、なかなか治らない・・・とお悩みの人が少なくありません。
寝違えは、睡眠中に無理な姿勢を取ったり、無理な首の動かし方をすることで首の筋肉や周辺の関節に負担がかかったりすることで起きます。
たいていの場合は、なるべく安静にしていれば、一週間もかからずに回復していくのですが、しょっちゅう寝違えを起こしたり、一度なるとなかなか治らなかったり・・・というケースがあります。
①寝違えだと思ってそのままにしていたら、2週間を過ぎても治らない
②定期的に寝違いを起こしてしまう。
③扁桃腺が腫れている・鼻やのどの不調や痛みが取れない
④首が重くしびれる・腕のしびれや胸の圧迫感がある
これらに該当する場合はそれぞれ原因があるかもしれません。
①寝違えだと思ってそのままにしていたら、2週間を過ぎても治らない
・筋肉が傷ついてなるもの(筋違え)
寝ている時に、長時間不良な姿勢が続いたことにより、筋肉に炎症を起こしてなるもの
・関節に負担がかかってなるもの
ヒトは頭の重さを関節で支えています。不良な姿勢が続くと、関節を圧迫して痛みを発生させます。
筋肉系か関節系か、どちらが原因で寝違えたのかを自己分析してみましょう。首をどのように動かしたときに、どの箇所が痛いかで分かることがあります。
・筋肉性のもの→後ろに振返った時に反対側に痛みが出ることが多い。右に向こうとすると左の首が痛くなる傾向あり
・関節性のもの→右を向こうとすると右の首が痛くなる傾向あり
筋肉性のものは、湿布で冷やしたり消炎鎮痛剤を服用するなど、筋肉の炎症が治まれば痛みはなくなります。
なかなか痛みが引かない寝違えは、関節性のものである可能性が高いです。からだのバランスが崩れ、首の関節に痛みが生じているといえます。首だけではなく、肩まわりや背中をよく伸ばし、関節の圧迫をゆるめることが対策としては必要です。
回復のために特に効果的な部位は「わき」です。わき(腕の付け根)部分に「腋窩神経(えきかしんけい)」があります。
誰にでもすぐにできる「わきの刺激方法」は腕を回すことです。腕を付け根から大きく回すことで肩甲骨が動きます。肩甲骨を意識して腕を回してみましょう。
肩甲骨を意識して動かすことで、筋肉が首や肩、背中と連動して動きます。連動している部分が全体的にゆるむことで、関節の圧迫が緩和され、痛みが引くことが多いです。
②定期的に寝違えを起こしてしまう。
しょっちゅう寝違える、という人は「①」でお伝えしたように首そのものや、肩・腕など関連した関節がゆるまないことで、可動域が狭くなっていることが多いです。
また、「眠る姿勢」「枕の選び方」「生活上で寝違えを起きやすい習慣を持っている」という要因も考えられます。
・正しい枕選びで寝違えを予防
枕の高さは「仰向けに寝た時に首の骨に沿うような形がベスト」と言われています。
枕をオーダーメイトして「自分の首の形に合った枕を作る」人も増えていますが、そもそも人間の首は毎日同じ形ではありません。
肩の疲れ具合や腰の固さなど、他の部位とのバランスで、せっかくオーダーメード作成した枕が合わないこともしばしばです。
そんな時は、「バスタオルなどを重ねたり丸めたりして、枕の高さを調節する」ことをお勧めします。
横から見た時に、「首の骨が曲がっていないか」「あそびがなく、伸びきったりしていないか」をチェックしながら高さを微調整しましょう。寝たときに痛みや違和感がなく、しっくりくるように毎日寝る前に調整することが大切です。
・寝違えと寝返り
私たちは眠っている間に何回も寝返りをうっています。「寝返りを正しくうてるスペースがある」「寝返りを正しくうつ習慣」は首や肩の寝違えを予防してくれます。
ベッドや布団は、自分が横に一回転しても少しスペースが余るくらいの大きさが必要です。
枕の大きさは、頭の大きさよりも横に広めのものを使用すると、頭が落ちたりせず、寝返りを打ちやすくなります。
枕の素材は、どのようなものをお使いですか?頭が沈みすぎると寝返りが打ちにくくなります。また、うつ伏せに眠ると寝返りを打ちにくくなるので、寝るときは仰向けか横向きが理想的です。
・ストレッチはお風呂から上がった後に
普段、筋肉を使わない生活をしていると体をひねった時にすぐに痛みだすことがあります。朝の起き抜けやからだが冷めた眠る直前ではなく、お風呂に上がった後など、筋肉がゆるんでいる状態の時にストレッチをすることがお勧めです!
③扁桃腺が腫れている・鼻やのどの不調や痛みが取れない
鼻や扁桃腺の炎症によって首の痛みがでるものがあります。
特徴は「動かす動かさないに関わらず、痛みを常に感じる・熱っぽさを感じる」という症状です。特に熱っぽいときはすみやかに医療機関を受診しましょう。
④首が重くしびれる・腕のしびれや胸の圧迫感がある
「むち打ち症」になっている可能性があります。上記の症状の他に、頭痛、めまい、耳鳴り、耳痛、目の痛み、まぶしさ、吐き気、食欲不振など、むち打ち症に伴う症状は実に様々ですが、多くの場合は首の捻挫(ねんざ)だけであって、それほどの重症ではありません。
もしくは、過去に「むちうち症」を患い、その後遺症で上記のような症状が出ることもあります。
・むち打ち症の原因
むち打ちは、症状としては頚椎(けいつい:背骨の一番上部、首のあたりの骨のこと)の捻挫(ねんざ)です。
むち打ち症の原因で一番多いのは「自動車事故」です。
後ろから衝突された際の強い衝撃で、首が前にガクンと揺らされることで、首の筋肉や筋が損傷します。他にもスポーツ事故や仕事中の事故などで多く見られます。
・診断・治療
むち打ち症は、事故にあった当日は何の症状も見られず、翌日~数日後に症状が現れることが多いです。首に衝撃を受ける事故に遭った後、前述したような首の痛みを主とする様々な症状があらわれた場合は、整形外科や脳外科の専門医に診察を受けましょう。
大きな事故に遭遇した場合は、症状の有無にかかわらず、念のためなるべく早く診察を受けるのが望ましいです。
診断は主に問診とX線(レントゲン)撮影で行われます。レントゲンの結果、脊椎や筋肉に重大な損傷が見られる場合は手術等を行う場合もありますが、大抵の場合は特に異常は見られず、他の捻挫と同様
・ギプスによる首の固定、
・湿布などで患部を冷やす
・運動を避けて数週間安静にする
といった治療法がとられます。
一般的に、むち打ちは完治まで長い時間がかかることが多く、リハビリテーションや整体・マッサージ・鍼灸などを併用し、少しずつ関節や筋肉をゆるめていきます。
首や肩のコリや痛み、寝違えの痛みが長引く方は当院へ
気温の低い冬の時期は、季節的にも室内と外の気温差大きいことから、日頃こっている首や肩にさらに負担がかかって寝違えを引き起こしやすいときです。
また、冬に負担がかかりやすい「腎系(じんけい)」を施術してゆるめることで、寝違えの痛みが改善することも多いです。ご相談ください。
※漢方医学で「腎」とは泌尿生殖器系と一部の神経系、造血系、内分泌系の機能を包括したもの。腎は脳(髓)と深く関係し、思考力、判断力、集中力を保持。腎気不足は思考力の鈍り、健忘、眩暈、耳鳴り、視力低下をおこします。
寝違えを起こした直後は、患部を冷やすことはもちろん、「腎」の働きを妨げてしまう暴飲暴食や睡眠不足は避けたいですね。