院長のブログ

肩甲骨の出っ張りと、右肩が上がりにくい悩みを改善できた女性(60歳)の患者さんの実例

kataga64242

患者さんのプロフィール

60歳女性(主婦)。35年前の出産後から、右肩甲骨が出っ張ってしまった。

その時は子育て多忙により、特に検査や治療をしなかったが、3年前に右肩を骨折した際、リハビリ中に右肩甲骨の可動範囲がかなり狭いことを初めて指摘され、側湾症で背骨が歪んでいることが分かる。

ご趣味で踊っているフラメンコで、両腕をピシッと上にきれいにあげたいが、なかなかできない。

2000年に胃がんの手術するも、その後転移なく今は元気に過ごされている。

うつ病の既病歴あり。ここ数年、ご年齢と共にご自身のからだの不調がいつも何となく気がかり。

来院のきっかけ、理由

1.右肩が上がりにくい

以前からずっと気になっていたが、3年前に右肩を骨折して以来、より可動範囲が狭くなってしまった感じがする。右肩の痛みはない。

2.首を左右に動かしにくい

「1.」同様、3年前の右肩骨折以来より可動範囲が狭くなった。首痛や頭痛はない。

3.右肩甲骨が出っ張っているのが気になる。

35年前のご出産以降ずっと気になってはいるが、もう良くならないだろうとあきらめ気味。「1.」が改善することで、少しでも引っこめばいいと思っている。

4.たまに腰が張る感じがする。

不定期。わりとすぐに治まることが多い。

当院の見立て

「2.首を左右に動かしにくい」症状は、「1.右肩が上がりにくい」症状と連動しているのではないか?

「3.右肩甲骨が出っ張っているのが気になる」症状を緩和させることで、「1.」「2.」ともに改善する可能性が大きい。

具体的には「右首と肩の付け根部分」「右背中上部」に加えて、「3.右肩甲骨の出っ張っているのが気になる」まわりの筋肉を緩める。

「右脇下」や「右胸回り」を併せてこりをほぐすことで、右肩甲骨の出っ張っている部分をなだらかにし、引っ張っている部分が緩むことで、右肩の可動範囲が広がり、首を動かしやすくできるのではないかと見立てた。

「4.たまに腰が張る感じがする」症状も「3.」を整えることでからだ全体のバランスが取れ、さらに症状が出にくくなるのではないか。

実際に行った施術

・極度の筋緊張がある左首と右背中から肩甲骨まわりを入念に緩める。反対側の「右首」及び「左背中から肩甲骨」にはあまりこりがないことから、片側の極端なテンションの高さのみを緩める。

・腰は左側に極度の筋緊張があり、骨盤は右側に開いた状態。先程同様、右腰にはこりが少なく左骨盤はきれいな状態であることから、左腰と右股関節を入念に緩める。

・右骨盤の調整に絡め、右体側を伸ばす施術を行う。右脇下付け根(この箇所が押圧された痛みが最も大きかった様子。筋肉の極度の硬さあり。

「1.右肩が上がりにくい」症状と「3.右肩甲骨の出っ張っているのが気になる」一番の原因はこの部分が原因であることをご本人にお伝えする。)や右大腿骨まわりを特に入念に緩める。

・腹部の冷えあり。下腹部・股関節際と肋骨下を特に重点的に施術する。

施術の結果

約30日に1度、計10回ご来院。

「2.首を左右に動かしにくい」「4.たまに腰が張る感じがする」症状は出なくなった。

「1.右肩が上がりにくい」は日によって上がりにくい日もあるがほぼ気にならない。

「3.右肩甲骨の出っ張っているのが気になる」については、凸は残るも、周りの方々に「以前より随分目立たなくなった!」と言って頂け、今までは凸が目立って着られなかった白いシャツや薄手の洋服を自信を持って着られるようになる。

主な変化は以下の通り。

・2回目:首を左右に動かしにくい症状は全く出なくなった。右肩の可動域が少し広がり、腕を上げることが増えた。腕を上げた時に、股関節に体重乗らずに腰が反っている感じが気になり始める。

・3回目:フラメンコの先生に「肩甲骨の出っ張りが少なくなりました?」と言われとても嬉しかった。それでも腕を上げようとすると背中ごと丸まる感じが気になる。例年、梅雨のこの時期は腰が痛むが今年は痛みが出ていない。

・5回目:背中ごと丸まる感じもなく右腕がかなり上まで上がるようになったが、腕をぐっと更に上まで伸ばそうとすると、右肩甲骨の下方と右脇が伸びない感じが気になる。

・9回目:右肩甲骨の出っ張り部分や右背中・右脇や右胸回りがまんべんなく筋肉が緩む。初めて施術中によく眠られる。

・10回目:両側の股関節に体重が乗っかって歩けている感じがする。長時間歩いても疲れなくなった。右肩は日によって上がりにくいもほとんど気にならなくなった。右肩甲骨の出っ張りが気にならなくなってきたので、ご友人と薄手のシャツを買いにお買い物へ。

まとめ

・右肩甲骨の出っ張り(側弯症)が右肩と首の可動範囲を狭くしていた。

・右腕を上げ、右の体側をよく伸ばすことを日課にして取り組んで頂けたことで、効果が出やすかった。

・右肩を上げられるようになったことで、股関節など今まで気にしなかった部分を意識して使えるようになったことでからだ全体のバランスが整い、右肩甲骨の出っ張りもなだらかになった。

9回目の施術中に「気付けば寝ていた」という、いつもどこか緊張されているお気持ちがふっと緩んだ辺りから、ご自身のおからだを「ありのまま」受け入れられる基盤ができあがる。

その日の肩の痛みや可動域の状態で一喜一憂することなく、おからだの状態を冷静に観察し適切な対処ができるようになったことを境に、症状の大きな改善・緩和が見られた。

院長からのコメント

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今回の側湾症のケースは、おそらくご出産前から歪みがあったものが、ご出産で大きく骨盤が開いておからだのバランスが変わったことで「肩甲骨が出っ張る」という目に見える形で現れたものであると推察します。

子育てに追われ、ご自身のおからだのケアにまで手が回らないお母様が多い現状はありますが、しばらく時を経てからでもおからだと向き合うことで、長年の不調の原因を理解してそれを大きく改善させることができます。

今回のケースでは、肩甲骨の出っ張りがなだらかになったことで大きく呼吸ができるようになり基礎体温が上がったこと、「漠然とした不安」を抱えることが減ったことが副産物でした。

おからだの改善に遅すぎることは決してありません。ご自身のありのままの状態を見つめることができれば、あとはその対処をしていくのみです。

当院では、皆様のおからだを見つめる「伴走者」として、適切な施術と改善の方向性を導く役割を果たすことを大切にしております。

 

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