妊娠中や産後の「手のしびれや痛み」に悩む人は少なくありません。手のしびれや痛みには様々な原因が考えられるため、改善するには原因を探ることが大切です。

※当院では女性整体師による、専門的な妊娠中および産後ケアを行っております。

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妊娠後期~産後の腰痛を改善できた女性(34歳)の患者さんの実例

まず、手のしびれ・痛みの原因は大きく分けて2つで、「神経性のしびれ」「筋肉性のしびれ」があります。

神経性のしびれ

腕や手の神経は、首(頚椎)から出て、肩のあたりを通って腕や手の先まで伸びています。そのため、首、肩になんらかの問題が起こり、神経が圧迫されるとしびれを起こします。

手や腕に行く神経はたくさんあるので、どこで、どの神経が障害を受けているかを具体的に知るには検査を受ける必要がありますが、妊娠中や産後の神経障害は特徴的な傾向があります。

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①胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

「胸郭出口」とは耳慣れない言葉ですが、おおよそ鎖骨のあたりのことです。ここにも腕や手に向かう神経や血管がたくさん通っています。

この場所に何らかの圧迫や障害があると腕や手にしびれを起こします。

妊娠中・産後の手のしびれの多くは、この胸郭出口症候群が原因で起こります。

具体的な症状

・神経障害による手指、腕のしびれ
・血流障害による熱感、冷感
・神経障害と血流障害による脱力感
・首、肩、肩甲骨の間、胸の前部分がうずくような痛み
・神経障害と血流障害により、腕を上げた際に、手のひらが白くなる

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※二枚の写真に違いがあるのがわかりますか?よく見ると、肘の位置が違います。

左側の写真のほうが肘が上がっていますね。そして手のひらが白くなっているのが分かります。

肘を上げると血管の圧迫により手への血流がスムーズでなくなり、血行障害が起きてしまいます。その結果として手のひらの血の気が引き、白くなってしまいます。

このように、腕を上げている動作が長く続くと、症状がはっきりと出るのが「胸郭出口症候群」の特徴です。同時に、首や肩の凝り感の他、腕のだるさやしびれを感じることも多いです。

・自律神経が影響を受け、頭痛やめまいなどを発症

圧迫されているのが、神経、動脈、静脈のどれかによって症状は多少異なりますが、最もよくみられるのは「腕から手にかけてのしびれ感」です。

一般的に胸郭出口症候群を患いやすいのは
・首が長く、なで肩の女性
・腕を挙げた状態で仕事をする人
・20歳代がピーク
と言われていますが、妊娠中・産後に多く見られるのは、
・お腹が大きくなることで腰が反る結果、背中が前傾する
・授乳のために猫背のようになる
ことで、腕が重力で下へ引っ張られて、なで肩のような状態になることで胸郭出口症候群になると考えられています。

・予防法

まず、腕を酷使しないことが一番です。産後はこどもを抱っこしたりする機会が増えるなど、なかなか「腕を酷使しない」ことは難しいですが、授乳の際に抱いているお子さんの位置をクッションなどで少し上げることで、自身の首を下げる角度が軽くなります。なるべく首や肩に負担がかからによう工夫をしてみましょう。

【首や肩に負担をかけない姿勢を心がける】

日常から意識してあごを引いて、背すじを伸ばすようにします。そうすることで頸椎が自然なカーブを描き、首や肩の負担が軽くなります。

【肩こり体操などで体を動かす】

授乳後や、長時間のだっこの後にはこのような運動をしましょう。

1.息を吸いながらゆっくり両肩を上げ、息を吐きながら下げる「肩の上げ下げ運動」。
2.手で頭を押しながら、それに抵抗するように前後左右に頭を倒します「抵抗運動(等尺性運動)」。

なお、首や肩周りの血流が悪いこの時期は、いつも以上にからだを冷やさないことも大切です。

【首や肩の冷えに注意する】

冷えることで首や肩の筋肉が硬直し、血流が悪くなってしまいます。外出するときはスカーフや肩掛け、マフラーなどで冷えを防ぎましょう。室内でも冷房の風に直接当たらないようにすることなどを心がけましょう。

【ストしスをためない】

心身のストレス、緊張はコリや冷えを招きます。筋肉だけでなく自律神経も影響を受け、腕のしびれや痛みだけでなく、頭痛やめまいなどを発症することもあります。

ストレス解消法を見つけ、ため込まないように。ご家族以外にも、ママ友や保健婦さんなど、いろんな人と話してみましょう。当院にお越しくださっている方とは日常的なことも含めて色んなことをお話します。体をリラックスさせながらおしゃべりするだけでも気分は明るくなると思います。

②手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手の過度の使用や、妊娠時のむくみなどにより、手首の神経が圧迫されることがあります。そうなると手のひらにしびれが起こります。産後の抱っこが原因で起こることも多く、「手を振ると症状が一時的に緩和する」「朝方に症状が出やすい」などが特徴です。

この症状を「手根管症候群」と呼びます。

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水色とピンクで表した範囲が手根管症候群でしびれる範囲です。特に水色の部分は手根管症候群特有のしびれる範囲で、人差し指と中指の指の腹の部分に特に強く痺れが出ます。
手根管症候群の原因は
1.手首で神経が圧迫されて痺れがでている場合
2.首からの原因
の二通りが考えられます。

1.手首で神経が圧迫されて痺れがでている場合

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ピンク色で示した神経を「正中神経」といいます。

この神経は首から出て、枝分かれして腕を通って、腕の前、真ん中を走っていきます。手首の真ん中で、「屈筋支帯」で囲まれたトンネルの中をくぐって、親指、人差し指、中指の感覚と筋肉の運動をつかさどっています。

この「正中神経」が先ほど述べたトンネルの中で圧迫を受けたものを手根管症候群といいます。

2.首からの原因

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手首の周りの神経の走行を表した図です。黄色の線で示したものが「正中神経」で、親指の付け根の部分の筋肉を司っていて、親指で物をつまむような動作にこの筋肉が働きます。

また、この神経は親指と人差し指と中指と薬指の内側の感覚を担当していて、この神経が圧迫されると、その部分が痺れます。

症状が増悪していくと、母指球筋(親指の付け根の筋肉)の筋力低下をきたします。高度の麻痺になると、母指球筋の萎縮がひどくなることで、親指を開くことができなくなります。

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ボタンがかけにくい、小銭を摘むことができないなど日常生活でも大きな障害となります

・予防法

痛みやしびれの症状が、手を振ったり指を動かすことで一時的に良くなることがあります。これは手根管内で傷んだ神経が、動かすことで循環が良くなったり、圧迫が一時的に軽減するためです。

よって、日常生活ではしびれを気にせず、積極的に使うことが大切です。

また、手根管内を腱が通るので、その筋肉の柔軟や運動などが有効です。

【運動療法】

★手首のストレッチ

腕を肩の高さに上げて、下の3つの動作を10秒ほど保ちます。3セット行いましょう。

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1.親指を中にして握り、手首を小指側へ曲げる

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2.手首と指を曲げ、反対の手で手前に引く

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3.手首を反らして壁に固定し、反対の手で上から押す

★腱のグライディングエクササイズ

手首・指をまっすぐに伸ばした状態(基本姿勢)から開始して、以下の5つの姿勢を7秒ずつ保ちます。5セット行いましょう。

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1.指をしっかり反る

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2.指を曲げて拳をつくる

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3.第1関節を伸ばして拳をつくる

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4.第1・第2関節は伸ばし、第3関節を曲げる

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5.第3関節は伸ばしたまま、第1・第2関節を曲げる

【日常生活での工夫】

・包丁やフライパンなどを使う時は、両手で操作する(持ち手を太くして握りやすくする)
・パソコンのキーボードを打つ時は、手首の下に丸めたタオルなどを敷き、手首をまっすぐに保つ

筋肉性のしびれ

筋肉性のしびれとは、筋肉のコリがひどくなったとき、その筋肉とは別の場所に痛みやしびれを感じるものです。

これはじわっーとした重たい痛み・しびれとして感じることが多く、こりの部分を押すと痛みが広がることが特徴で、関連痛といいます。

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①腱鞘炎(けんしょうえん)

腱と腱鞘の間に起こった炎症を指す言葉です。手指に起こる「ばね指」が有名な腱鞘炎の一種です。

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普段は腱鞘という鞘の中を通っている腱ですが、通常は摩擦がなく手指の屈曲は滑らかに動くことができます。その部分になんらかの炎症が起こっていると腱鞘のすべりが悪くなり摩擦が生じてしまいます。そのとき痛みとして感じることになります。

この炎症の起こる原因としては、手や指の使い過ぎがあります。手や指をたくさん使う職業関連から起こるものもありますが、執筆活動や家事、介護、乳児のだっこなどからも起こり得ます。

【具体的な症状】

1.前兆

・うまく手を動かせない
・痛みはないけど手首に腫れが見られる
・動かすとだるく感じる

2.初期症状

・指や手首の使用中の不快感
・瞬間的に痛みが走るが、次の瞬間痛みが消えていることがある
・痛い箇所はあるものの具体的にどこが痛いのかわからない

3.中期

・この場所を押すと痛いという痛みを感じる痛圧点が明確になる
・痛み・不快感も継続的に起こるようになる
※日常生活にも支障が出てくるようになります。多くの場合この段階で初めて腱鞘炎であると自覚します。

4.末期

・神経痛が起こる
・血流が悪くなって痛圧点の神経も麻痺した状態になる

※この状態になると手術が必要になることもあります。自然治癒が見込めないので、腱鞘を切開して傷ついた組織を取り除くという処置を施します。

【原因】

1.関節部分の使いすぎ。

腱と腱鞘を使いすぎることにより、その間に起こった摩擦によって炎症が起こります。

産後の場合は、第一子ご出産後腱鞘炎を患うケースがとても多いです。お子さんに慎重になるすぎるあまりに、ちょっとした動作にも力が入ってしまうことが原因の一つのようです。

おもに、背中から首と手首に力が入ってしまいやすく、お子さんをしっかり抱っこして落とさないようにしようと、手首を酷使します。

お子さんはどんどん大きくなっていき、このまま手首が痛い状態が続くとどうなってしまうのか・・・。産後すぐに手首が痛み、このような悩みをお持ちの方も、産後5か月程で、で腱鞘炎が治っていることがほとんどです。

お子さんの体重はは出産直後にくらべ倍以上に増えていることもありますが、腱鞘炎の痛みは軽減するのは、お子さんを抱くことに慣れることと、手首が痛くない動作を身体が自動的に覚えるからのようです。

第二子以上ご出産の方が腱鞘炎で相談されるケースはあまりありません。これも、腱鞘炎にならない動作を自然に身につけているからなんですね。

とはいえ、適切な処置を行わなければ痛みは結構長く続いたり、重症化してお箸を持てない場合もあります。

2.(女性の場合)ホルモンバランスの変化

更年期や出産時になりやすく注意が必要です。その人の持っている筋力にとって負荷となるレベルの運動を続けると腱鞘炎の原因となります。

【予防・治療法】

手首に負担をかけないことが一番です!

・手首にテーピングをしたり専用のコルセットを装着する
・湿布や冷却スプレーで患部を冷やす
・ロキソニンテープやボルタレンのゲルクリームなどの薬を使用する

あまりに痛く、育児に差し障りが出る際には、直接患部に鎮痛剤の注射を打つこともあります。

※腱鞘炎によって、腱鞘を切開して傷ついた組織を取り除くという手術が必要になる場合もあります。腱鞘炎かもしれないと気付いたときに手首の使い過ぎを避け、不快が続く場合は医師に相談し、的確な治療を受けましょう。

妊娠中や産後の方は整体にて体のケアを

妊娠中は、全身の血液量が増えてむくみがちになり、神経や血管を圧迫しやすくなっています。

さらに妊娠に伴う姿勢の変化によって筋肉への負担が増えて、腕の痛みや手のしびれを起こしやすい状態になります。

産後は、このむくみに加え、抱っこや授乳による筋肉への負荷がしびれや痛みを引き起こします。また、お子さんのほうを向いて横向きで寝たり、添い乳の姿勢が悪いと、朝起きた時に痛みやしびれを感じることがあります。

妊娠中や産後の方が当院にご来院される一番の目的は「骨盤の調整」ですが、骨盤やおからだのバランスが整うことで、「腕の痛みやしびれがいつのまにか気にならなくなっていました!」というお声をよく伺います。

妊娠中・産後はお子さんのことはもちろん、ご自身のおからだの変化にとても不安になります。気晴らしも兼ねて、是非お気軽にご相談下さい!

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