足の裏に土踏まずがなく、真っ平らな状態を「扁平足(へんぺいそく)」と言います。
最初からヒトには土踏まずがあると思われがちですが実は皆「足の裏が真っ平らな状態」で生まれてきます。通常は成長に従って土踏まずが形成されていくのです。扁平足になる原因は次の2つのいずれかです。
・先天的な遺伝による偏平足(このケースは極めてまれです)
・足の筋力や靭帯の強さの関係による後天的な偏平足
扁平足になってもまったくの無症状の場合も多いものですが、「激痛」とまではいかなくても「足がだるい」「何となく痛い」と訴える人もいます。
また、足を長時間使用した後、くるぶしの辺りに「火照り」を感じたり、その部分を押すと痛む人もいます。
ほとんどの場合、こうした自覚症状は足を休めることで一旦治まりますが、進行すると外反母趾(がいはんぼし)を引き起こしやすく、骨が変形したり、靴を履かなくても痛むようになることも。
外反母趾に悩む方(特に女性)は多いですが、その前段階として知っておきたいのが、この扁平足のことです。
なぜ扁平足や外反母趾になるのか?
偏平足のカギとなるのは足の内側・土踏まずの頂点にある「舟状骨」(しゅうじょうこつ)という骨です。
「舟状骨」という名前は、足の甲で“船底”のようなアーチを描いていことから付けられました。体重を支えたり、足の蹴り出しの際などに重要な骨です。
土踏まずの真上にあるこの「舟状骨」が、地面の方向に落ちてしまってアーチが崩れるのが扁平足です。アーチが崩れることで、足幅が広くなり、出っ張った部分が靴に当たって痛む人もいます。これが外反母趾です。
・舟状骨のアーチが崩れる原因は?
足底にあり、舟状骨を真下から支えている「長母趾屈筋」(ちょうぼしくっきん)と「長趾屈筋」(ちょうしくっきん)。「長母趾屈筋」は親指へ、「長趾屈筋」は残りの4本の指へとつながり、足底のクッションの役割を果たしています。
これらの足底クッションに加え、舟状骨を上に引き上げている「前脛骨筋」(ぜんけいこつきん)と「後脛骨筋」(こうけいこつきん)。
この4つの筋肉がきちんとバランス良く働いていると土踏まずが形成されるのですが、ダランと力を失うと舟状骨が落ちてしまい、扁平足になります。
・扁平足が外反母趾になる過程
扁平足になると、重心が土踏まずの部分にかかるので、足甲がつぶれるように広がり、親指と人さし指の間が広くなります。
この状態で、幅が狭かったり、つま先が細くなった靴を履くことで、足の甲から親指の付け根にかかる「第1中足骨」(だいいちちゅうそくこつ)が内側に折れて、親指が「くの字」書くように変形し、突き出した部分が痛みます。
こうして、外反母趾に進展してしまいます。
外反母趾になっている?チェックする足先運動
素足になって、足指を「パー」にする意識をしてみましょう。
このとき、親指に注目します!素直に親指が外側に開いていれば大丈夫です。
意識しても親指は外側に開かず、逆に閉じる方向に力がかかってしまうようであれば、外反母趾である可能性が高いです。
※親指を外側に動かす筋肉は「母趾外転筋」(ぼしがいてんきん)。
先程ご説明した「第1中足骨」が内側に入る状態になると、この「母趾外転筋」が「第1中足骨」と同時に内側へ引っ張られてしまいます。
すると、親指を開く方向に力を入れているつもりなのに、「母趾外転筋」は逆に内側方向に働いて、親指が閉じてしまうのです。
親指を開くエクササイズをしているつもりでも、「母趾外転筋」は反発してどんどん内側へ。結果、外反母趾を増強してしまいます。※
扁平足を改善するための足裏エクササイズ
先の「外反母趾になっている?チェックする足先運動」で親指が外側に開いた方は、舟状骨を持ち上げるエクササイズをしてみましょう。
※親指が外に開かなかった方は、この後にご紹介する「外反母趾マッサージ」をおこなってから、足裏をエクササイズしましょう※
・step1 足裏コロコロ
ゴルフボール(もしくは似た大きさ・固めの球)を用意します。足の裏でゴルフボールを転がします。気持ちいいと思うくらいの力加減で1分程度行いましょう。
・step2 足指じゃんけん
足指じゃんけん足の指を使って「グー チョキ パー」の形をつくります。できるだけ指を大きく動かしましょう。
・step3 タオルギャザー
タオルを用意します。
滑りやすい床にタオルを敷き、端に足指の付け根を置いて、親指から小指までを使ってたぐりよせていきます。
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しっかりとたぐりよせるようにしましょう。片足で10回程度を2セット行います。
《point!!》
X脚・O脚気味の方は、足指を動かそうとすると、ひざが正面からずれてしまい、内側あるいは外側に動いてしまう傾向が強くあります。常にひざが正面を向いているかをチェックしながらおこないましょう!
・step4 タオル持ち上げ→離す
step 3で使用したタオルを使用します。
・持ち上げ
①いすに座ります。
②かかとをつけた状態で、タオルを足指でしっかりつかみ、さらに床から上へ持ち上げます。
③5秒キープします。
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・離す
①足指をパーにしてタオルを離します。
②パーの状態のまま5秒間キープします
持ち上げ→話すを10回×3セットやってみましょう!
外反母趾対策に!外反母趾マッサージ
足指を開こうとしても開けない人は、まずは硬くなっている母趾内転筋をほぐすことから行いましょう。
母趾内転筋は、真横方向と斜め方向に走っているので、筋肉の流れに対して90度の角度から、ぐーっと指でほぐしていきます。
母趾内転筋が硬いと、上記「足裏エクササイズ」の最後の「離す」動作がやりにくいので、積極的にゆるめましょう。
《point!!》
マッサージする時間がないときは、親指と人差し指の間に硬く丸めたティッシュなどを挟んで、親指の角度を正してからエクササイズを行うといいでしょう。
扁平足改善に大切な心がけ
ご自宅で足のコンディションはどのようにしていますか?
靴下やスリッパをはいて過ごされている方も多いのではないでしょうか。
裸足で地面を踏みしめて歩くことが、足底と足の指で踏ん張るようにする手っ取り早い練習になります。
たまには公園の芝生や砂の上で、裸足で思いっきり走ってみるのもいいですよ。こどもの扁平足は、裸足で生活するだけで治ることもあるそうです。
※こどもの扁平足
扁平足は成長期の子どもに多く見られます。裸足で走り回るなど、足底の筋肉を鍛える動きが足りないと、成長によって体重の負荷が増える際に足底が伸び、扁平足となります。もちろん、運動不足で足底の力が弱い大人でも同様のことが起こります。
扁平足・X脚・O脚や、足の痛みや冷えに悩む方は当院へ
X脚の方は、ひざが内側に入っているために土踏まず部分に重心の重みがかかりやすく、舟状骨が落ちやすい状態にあります。
一方、重心が外側にかかるO脚の人は、筋力のある若いときはなりにくいのですが、加齢によって足底を支える力が不足してくると、重力に勝てず結局扁平足になるケースが多いです。
これらの場合は、骨盤調整をしておからだへアプローチしながら、リフレクソロジーで「母趾外内転筋」や、舟状骨を支える「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」を緩めると効果が早く出て、痛みやだるさがかなり軽減します。
また、扁平足とセットでよくお聞きする不具合は
「やたらと足(特にひざ下)だけむくむ」(手や他の部位はむくまない)
「足の甲と裏がずっと冷える」
があります。
むくみ→足のアーチの力が弱いことで、ふくらはぎの筋肉が血液やリンパをうまく押し戻すことができず、足に溜まってむくみやすくなります。
冷え→土踏まずがないことで、足裏全体が圧迫された状態が続くため。これが原因で血流が悪くなり、足全体が冷えやすくなります。
これらを効率良く解決するに、当院では内側・外側の両くるぶしから足首をまんべんなくゆるめるます。足首の可動域を広げることで、「前脛骨筋」と「後脛骨筋」を動きやすくすると共に、かかとにある腰部の「トリガーポイント」を刺激し、扁平足を支えるために疲労している腰も調整することができます。