院長のブログ

なぜ、足がつるのか? 〜根本原因から考える効果的な予防とは〜

こんにちは。院長の小澤です。
特に暑さの厳しい今夏、
今回は多くの方からご相談いただくお悩み、
「足がつる」現象について詳しく解説します。

「寝ているときに突然ふくらはぎがつって激痛で目が覚めた」
「運動中に足がピクッとなり、そのあと動けなくなった」
こんな経験、ありませんか?

夏に足がつりやすい原因は?
予防できる方法はあるの?
今回は、「アセチルコリン」という神経伝達物質をキーワードに、
神経と筋肉の関係性に注目しながら、効果的なセルフケアまでご紹介します。

 

足がつる正体は「けいれん」

足がつるという状態は、
筋肉が勝手に縮んで、戻らなくなってしまう状態、
つまり「不随意な筋収縮(=けいれん)」です。
この筋収縮は、通常、脳や脊髄から出た信号が神経を通って、
筋肉に伝わることで制御されています。

筋肉に対して「縮んで!」「ゆるめて!」という命令は、
【アセチルコリン(Acetylcholine)】という物質が伝達しており、
アセチルコリンが、神経の末端から筋肉の受容体に放出されることで、
筋肉は「OK!」と正しく反応します。
ところが、このアセチルコリンの分泌や受け取りにエラーが起こると、
筋肉が異常に収縮し、けいれんを起こしてしまうのです。

 

 アセチルコリンの伝達が乱れる主な原因は?

先程お話した通り、
アセチルコリンは、神経が筋肉に「動け!」と命令を伝える物質です。
筋肉が正常に動くためには、アセチルコリンが適切に分泌され、
正確に受け取られる必要があります。
ただし、この仕組みが乱れると……

アセチルコリンが過剰に放出される ➤ 筋肉がけいれん
アセチルコリンが出にくくなる   ➤ 筋力低下やだるさ

というように、どちらでも不調につながります。

主に以下のような要因が、神経伝達に乱れを生じさせます

① 電解質バランスの乱れ

カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが不足すると、
神経や筋肉の反応が過敏になります。

②脱水状態

汗や尿によって電解質が失われ、神経伝達の効率が悪くなります。

③ 血行不良

筋肉への酸素供給が不足し、疲労物質が蓄積。
けいれんを起こしやすくなります。

④脊髄や末梢神経の障害

椎間板ヘルニアや狭窄症、糖尿病性神経障害などでも
信号伝達の異常が起きます。

 

【MEMO】

美容医療で用いられるボトックス注射は、
このアセチルコリンの働きを利用しています。
ボトックス(ボツリヌス毒素)は、
神経末端からアセチルコリンが放出されるのをブロックし、
筋肉が動かなくなる状態をつくります。
これにより、表情じわの原因である筋肉の収縮を防ぎ、
皮膚がなめらかになるというわけです。
つまり、アセチルコリンを制御することで、
筋肉の働きを自在に調整できるということでもあります。

 

 夏に足がつりやすくなる原因と対策

上記の【アセチルコリンの伝達が乱れる主な原因】は、
夏の暑い季節に起こりやすい状態と重なりますね。
夏に足がつりやすくなるのは、上に挙げた
・脱水症状
・電解質不足
なども含め、このようなことが原因になりやすいです。

① 発汗による脱水とミネラル不足

夏は汗を大量にかく季節です。汗と一緒に体から失われるのは水分だけではなく、ナトリウム・マグネシウム・カリウム・カルシウムといった**電解質(ミネラル)**も同時に失われます。

これらのミネラルは、神経から筋肉へ命令を伝えるために必要不可欠。
不足すると神経伝達が不安定になり、筋肉が誤作動(けいれん)を起こしやすくなるのです。


② 水だけの補給で体液バランスが崩れる

「水をしっかり飲んでいるのに足がつる」という方もいます。
実は、水分だけを補給しすぎると、体液が薄まって低ナトリウム血症という状態になり、これも足がつる原因となります。

特に暑い日に大量の汗をかいたあと、塩分やミネラルを補わずに水だけ飲んでいると要注意です。


③ 冷房・冷たい飲食物による「内冷え」

夏は冷たい飲み物やエアコンの効いた室内で過ごす時間が増えます。
すると、体の表面は暑くても**内側は冷えている状態(=内冷え)**になります。

冷えることで血流が悪くなり、筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなるため、つりやすくなります。


④ 寝ている間の冷え&体温低下

夜、寝ている間に足がつるという人は、夜間の体温の低下と冷房の影響が重なっている可能性があります。

冷気は足元にたまりやすく、特にふくらはぎが冷えやすくなります。
筋肉が冷えると血流が悪くなり、緊張したままけいれんを起こすのです。


⑤ 夏バテによる栄養不良

食欲が落ちやすい夏は、ビタミンB群・マグネシウム・たんぱく質など、
神経や筋肉に必要な栄養素が不足しやすいです。
特に、ビタミンB₁(アリナミンにも含まれる成分)は、
神経が正しく働くために欠かせない栄養素です。
これが足りないと、アセチルコリンの伝達にも
悪影響を与える可能性があります。

夏の「足つり」予防のセルフケア

・「摂取する」観点から

ミネラルを含む飲み物を選ぶことが有効なのは、
皆さんご存じの通りです。
スポーツリドンクや経口補水液を活用する他、
・麦茶+塩少々
味噌汁
などもおすすめです。
水だけでなく「電解質も一緒に摂る」ことを意識するとよいでしょう。

 

・「身に着ける」観点から

下半身の冷え対策が有効です。
レッグウォーマーや薄手の靴下で「足元冷え」を防ぐ他、
足首のみをサポーターなどで冷やさないようにするだけでも効果的です。
夜間もエアコンは付けたままで過ごすことが多い今夏の暑さ、
寝具はいつもの夏よりも厚めに(タオルケット→掛け布団など)
調整で冷房が直接当たらないように。
また、冷たいものの飲みすぎにも注意です。
(内臓からかなり冷えます。)

 

・「自分で動く」観点から

①ふくらはぎがつりやすい方には、
椅子に座っている時に、左右の足を前後に置くことをお勧めします。
座っているのが疲れたら、左右の足を前後逆にします。
骨盤をしっかり立てた状態にしておければ、
浅くor深くどちらで座っていてもOKです。
前後をたまに入れ替えることで、
からだの左右のねじれが少なくなり、
血流やリンパの流れが悪くなることを防げます。

 

②椅子に座ったまま、肩や背中の張りをとることも有効です。
若干動きが大きいので、
オフィスなどでは不審がられることもあるかもしれませんが、
周囲の皆様も巻き込んで、
ご一緒に上半身を大きく伸ばしてみましょう。
背中や肩を緩めることで、 筋肉の緊張を和らげ、神経の過敏状態を抑えます。

 

 

 

 

 

④背中の筋肉を鍛えながら伸ばす「背筋体操」もお勧めです。
うつ伏せになり、全身を持ち上げるのですが、
この動きで、首~肩~背中~腰まで、からだの後ろ側の筋肉を
まんべんなく鍛えられ、筋膜も動きやすくなるので、
つることが予防できます。
【ゆっくり上げて、ゆっくり下ろす】がポイントです。

 

⑤骨盤の歪みを解消するエクササイズで、
筋肉の緊張を和らげ、神経の過敏状態をなくすのも
お勧めの方法です。
仰向けに寝て、自転車をこぐような動きを行うので、
足もよく動かせてつる状態の緩和につながります。
手首をつかんで行いますが、
手首をつかむ側の手をどちらにするか、
下記を参考にしてしっかり選ぶことが、
骨盤調整する大切なポイントです。

 

⑥最後に、骨盤調整と背中の緊張を両方取れるエクササイズをご紹介します。
左右の腰を浮かせるように、骨盤をリズミカルにツイストさせる動きです。
背骨が左右に揺さぶられることによって、
ねじれが腰から順に解放されていきますから、
背骨から頭まで、下から上に向かって歪みが取れ、
血行促進、つりにくいからだに導けます。
手の甲と甲を合わせるのもポイントです。
きちんと合わせられると、肩はより床に近づくので、
背中+脇下(体の側面)まできれいにのばせ、呼吸も楽に。
巻き肩や猫背解消にもなり、お勧めの動きです。
先にご紹介した、自転車をこぐ動きで骨盤調整をした後に
行うことで、さらに効果UP!

 

 

 

 

 

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