院長のブログ

ソマティック心理学   ~身体の声を聞いて心を癒す心身ケア~

こんにちは。院長の小澤です。
この時期は日照時間は春分に向かって、
少しずつのびていきます。
気持ちも少しずつ内向きから外向きに
移り変わっていく時季です。

中医学では、春分以降秋分までは行動力のある「陽」、
逆に春分まではコツコツと自分磨きをする「陰」と捉えます。

この「陰」「陽」の要素が良い方向で現れるとよいのですが、
心身がバテていると、自分の殻に閉じこもってガンコな「陰」、
攻撃的で人のせいにする「陽」となってしまいます。

心が折れてしまうと、どんな対処をしますか?
病気などで調子が悪いとき、
身体の調子が悪ければ、内科など、
肉体的・物理的な面を診てもらう場所へ、
また、心が病んだときは精神科医や
心療内科に足を運ぶことが多いですね。
心のことはとにかく心のはたらきで解決しよう
としてしまいがちです。

本日のテーマは
心をケアするのには、まずからだからアプローチ!
からだの叡智、からだの声に耳を傾けて、
そしてそれを心と統合していく
「ソマティック心理学」をご紹介しながら、
心身一如の奥深さをお伝えしたいと思います。

 

ソマティック心理学とは?

「ソマティック(somatic)」の
「ソマ:ソーマ(soma)」は
ギリシャ語で身体・肉体を表します。
直訳すると「身体の心理学」となります。

心をケアするのに、
まず身体からアプローチしていき、
そして身体と心を統合していく
という概念です。

まずからだがが喜ぶことを実践し、
そこから心にアプローチしていくことで、
心が癒され、全身が癒されていくという、
非常におもしろいメソッドです。

 

「動き」から「心」へアプローチできる例

焦りを感じているときに
意志的にゆっくり呼吸をしてみることによって、
気分が落ち着くということは
ご経験が多いかと思います。
動きが気分に影響を与えることができる例です。

呼吸反応と同じように、顔面が反応したことにより、
心理や生理にどのような効果があるのかを
検証しようとした研究も数多くあります。

case1
この操作が感情の研究であるということを
被験者に知られないようにすることを前提として、
被験者に前歯でペンを噛んでもらう。
口角が横に広がるこの状況は、
笑顔の顔面反応とほぼ同じものになる。
このようにして漫画を読んでもらったところ、
前歯でペンを噛んだ被験者の方が、
何もしていない状態よりも面白さを感じるという結果が出た。
つまり、笑顔の時になる「口角が横上に広がる」という顔面反応が、
快感情を起こしたということである。

case2
楽しい映画を見せるが、そのときの顔面反応を禁止した
被験者と、自然に反応してもらった被験者に分けて、
映画を見ての面白さについて回答してもらった。
その結果は自然な反応ができる被験者の方が、
面白さを感じやすかった。
この結果は顔面反応を抑制すると感情も抑制されるということを
意味している。

※参考文献『動きが心をつくる 身体心理学への招待』春木豊著 より

 

動きで心を元気にする具体的方法

最近よく聞かれるようになった「マインドフルネス」
(「今この瞬間」の呼吸に意識を向ける)
の実践でも行われる「歩く瞑想」。
これも、からだを動かすことで心が整う一つです。

歩行がもつテンポやリズムによって
活発化の程度は異なりますが、
基本的には歩く(ウォーキング)ことによって
心身の活動を活発にすることは広く知られているところです。

ウォーキングの三種類
①運動としての歩行
スポーツ競技「競歩」やメタボ対策など「体」のために行う歩行

②散歩としての歩行
古来、歌人がそぞろ歩いて道端の草花を愛でながら
創作する時間として行うなど、「心」を主体とした歩行

③瞑想としての歩行
姿勢を正し、呼吸のリズムを整え、一定のテンポを保持して
歩くことに注意を集中して行う歩行

※参考文献『動きが心をつくる 身体心理学への招待』春木豊著 より  

③の歩行は心身一元論に基づいた、心身調整法です。
最近では心理療法の分野でも、
瞑想としての歩行が取り上げられることが多くなっており、
座位での瞑想(座禅)よりもより心身への
総合的な健康法とされています。

他、からだを動かす様々な方法で
心を整えることができます。

※引用『動きが心をつくる 身体心理学への招待』春木豊著 より  

心身一如の根底となる「気」を中心に、
縦軸は「精神」と「からだ」、
横軸は「自然」(自己)と「社会」(他者)のつながりの度合いを
それぞれ表しています。

東洋には多くの修行法や武術があります。
それらはいずれもからだの健康を目指すスポーツであり、
且つ、心の鍛錬、心を整える意味合いが強い傾向になります。
心身統一的な方法です。
多数ある方法のうち代表的なものが上記の表にまとめられています。
これらの方法を中心として、
実に様々なバリエーションがあります。
自分のからだが、上記の表のどのあたりのバランスのものを求めているか、
からだの声に耳を傾けてみることをお勧めします。

 

「身」と「体」の違い ~これからの心身との向き合い方~

体を物体・物質と見る見方の歴史は長く、
二十世紀以降、遺伝子のメカニズムが解明されたことにより、
あっという間に生命もかなりの程度までコントロールできるように
なりました。
遺伝子工学による生命(生物)の合成や、
臓器の部分化による臓器移植など、
体=物体であるという物質観・物体観が深まっています。
現代の医学では、身体のうちの「体」を扱う傾向にあり、
現代人も「身」に関しての関心は薄れているのが現状のように感じます。

しかし、「身」という言葉は日常かなり使われています。

1.たとえば、魚の切り身という場合、
「身」は肉を表す意味に使われ、これは「体」の意味。

2.そして、「身」は「体」以上の意味内容を含んでいる言葉が
数多くあります。
例えば「身構える」というと「体」ですが、
単なる「体」ではなくその在りようを示しています。

3.さらに「体」の意味を離れて、
「わが身」や「御身」というときは、
「体」ではなく自己や他者の存在を表す言葉であり、
「身内」というときには、仲間を表します。
「身分」となると明らかに人間の社会的な意味を表しています。

4.さらに、心の意味を持つ言葉として、
「身を焦がす」「身に沁みる」など、
感情が深く大きく動いている様を表しています。

このように、「身」は身体的な意味を含みつつ
明らかに「体」とは異なる概念として、日常使われています。
「体」が物体化・物質化するほど、
「身」はそれ自体で心をも含む概念になっていくように感じます。
先ほども触れましたが、
東洋では精神と身体を分けない心身一元論が謳われていますが、
「身」の捉え方はまさにそれを表しています。

いつもこのブログで記事を書く時など、
わたくしは「からだ」という表記方法で
「体」「身体」を表しています。
漢字ですと、自分の思う「からだ」とは
意味合いが異なるように感じて、ひらがなで表記していましたが、
今回の記事を書くにあたり、ソマティック心理学の様々な文献を読んで
とても腑に落ちました。

わたくしが現場で感じている「からだ」は「身」です。
患者様の「からだ」に起きていることを観察し、
整えることが、整体施術の醍醐味です。

この表では「指圧」の部類に属します。
ご本人にも(当人だからこそ)気付きにくい
「身」の不調をご一緒に整理し、
心身一如のお手伝いを手寧に続けていきたいと思います。

 

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