院長のブログ

からだと脳の密接な関係 〜心の安定のために知っておきたいこと~

こんにちは。院長の小澤です。

日頃、皆さまのおからだを調整する際によく頂くリクエストは

「姿勢をきれいにしたい」。

背中を伸ばしたり、骨盤調整する効果として

からだのこりを緩めることはもちろん、

運動性向上、若々しく見せる、子ども整体では身長を無駄なく伸ばすことにもつながります。

他にも

「姿勢を正せば自信が持てる」

という興味深い現象も。

今回は、からだと脳の密接な関係性をお話したいと思います。

【参考文献:『脳には妙なクセがある』池谷裕二著】

 

姿勢を正せば自信が持てる!

マドリッド自治州大学の心理学者ブリニョール博士らが、

71人の大学生を募り姿勢が自己評価に与える影響を調べた実験データです。

学生たちに

「将来仕事をするにあたり、自分の長所と短所をそれぞれ書き出してください」

とアンケートを取ります。

この時、


・背筋を伸ばして座った姿勢
・背中を丸めて座った姿勢

でそれぞれ記入してもらった結果、

書かれる内容やリストアップされた項目については、

どちらの姿勢でも差はありませんでした。

ただ、背筋を伸ばした姿勢で書いた内容は、背を丸めた姿勢で書いた内容よりも

確信度が高い、自分で書いた内容について「確かにそう思う」と

より強く信じていることが分かりました。

つまり、姿勢を正すことは、自己評価の内容そのものではなく、

自分の出した回答にどれほど強い自信が持てるかという度合いが

変化するわけです。

 

からだの動きと脳の動きの密接な関係

①ボトックス注射をしている人は、表情が読みにくくなる

顔面筋の動きを鈍らせることでしわができにくくなるボトックス注射。

肌の老化を防ぐとされいますが、ボトックス注射をすると、

相手の表情が読みにくくなるいうデータがあります。

様々な表情の写真を見てもらい、その表情の「楽しい」「悲しい」などの

感情を読み取ってもらいます。

その結果、

顔にボトックス注射をすると表情を読み取る能力が低下することが分かりました。

このデータを報告した南カリフォルニア大学のニール博士によると、

「無意識のうちに相手の表情を模倣しながら、相手の表情を解釈している」

とのこと。

赤ちゃんにほほえみかけると、笑顔で返してきますね。

私たちには、相手の仕草をまねする癖があります。

表情から感情を読むときも、たとえば「笑顔」をしている相手を見たら、

自分もその表情をわずかにまねしてみます。

すると、笑顔の効果で自分の感情が楽しくなります。

「まねしたら楽しくなった。ということは、相手は楽しかったのかな」

とそんな推察を重ねて、私たちは相手の感情を読んでいるわけです。

ちなみに、対談中に相手がコーヒーを飲んだらこちらもカップに手を伸ばしたり、

相手が頬杖をついたらこちらも頬杖をついたり・・・

さりげなく相手の行動をまねすると、相手からの好感度が増すという事象は

「ミラーリング」という名称で心理学用語でも広く使われています。

 

②足し算と引き算などの算術が、身体感覚に関係している

眼球を左右に動かす運動が計算のもとになっているという論文があります。

これを発表したパリ第11大学のノブス博士らは、足し算や引き算などの算術が、

身体感覚に関係していることを発見しました。

計算を行う時、わたしたちは左右の伸びる数直線をイメージして、

足し算の場合には線上を右にシフトする仮想的な視点移動を行なっているといいます。

子どもの頃は数直線を使って加減算を習い、眼球を動かしてその方法を覚えました。

そのうちに眼球を動かさなくても、動かしたように想像するだけで

暗算ができるようになります。

大人になった今、まさか眼球を動かしている実感はなくとも、

脳を覗くといまだに眼球の動きが算術の基本になっていることが分かるという話。

「一見抽象的にも見えるヒトの高度な思考は、からだの動きから派生している」

となると興味深いです。

今度は、「脳」そのものについてみてみます。

 

脳は何のために存在するのか?

現在では「脳」は高度な情報処理を実行するための組織として機能していることは、

周知の通りです。

ですから「脳は何のためにある?」という質問に対し、

多くの回答は「物事の答えを出す」とか「深く思考・研究する場所」となります。

しかし、脳の本質はごく初期の生物を見たほうが、本来の脳の役割が分かります。

初期の生物にとって、脳は外界の情報を処理して、

適切な運動を起こす「入出力変換装置」です。

餌ならば近寄る、敵や毒ならば避けるといった、

単純ですが生命にとって大切な反射行動を生み出す装置です。

つまり、脳の本質はとことん身体感覚(入力)と

身体運動(出力)の処理に特化した組織だったといえます

例えば、幼児は数を数えるとき、指を一本一本折りたたみながら

「1、2、3…」と数えます。

年齢を重ねると、指を使わなくても数字をカウントすることができますね。

これは「指」という身体ツールが内面化されたからに他なりません。

起源を辿ればからだに行き着きます。

 

からだを動かすことを省略・・・脳回路だけでの思考が「心」!

脳にとって「からだ」は、大切な乗り物。

脳の構造を眺めると、階層的になっていることが分かります。

この中で「脳幹」や「小脳」、それに「基底核」といった部分は非常に古く、

いずれもからだと深い関係を持っている脳部位です。先程の「脳の本質の部分」ですね。

こうした旧脳の上に「大脳新皮質だいのうしんひしつ」が存在します。

大脳新皮質と身体との接点は、旧脳に比べてはるかに少ないことが分かっています。

進化的に後から生まれた「大脳新皮質」は、

すでに効率よく動いていた旧脳をさらに円滑に動かすための

「予備回路」あるいは「促進器」として参入した、言わば新参者です。

エンジンのターボみたいなもの…平凡に生きるだけならば、必ずしも必要のない補足品です。

進化の初期段階ではそれでよかったのですが、

進化と共に脳が大きくなっていき、特にヒトでは大脳新皮質の拡大が顕著です。

すると、多数決の原理が起こり、上下関係が逆転!

圧倒的多数を大脳新皮質のニューロンが脳を占めるようになると、

旧脳よりも大脳新皮質の機能が優位になります。

大脳新皮質は、旧脳とは異なりからだの動きとつながりが少ないということは、

先程ご説明しました。

解剖学的に見ても、からだとの直接的な連結をほとんど持っていません。

ですから、大脳新皮質が主導権を持つヒトの脳には、

からだを省略したがる癖が生じます。

その結果生まれたものが、より高度な計算力、同情心やモラルなどの機能と言われます。

こうした高度な能力は、もともとはからだから発生したものですが、

物体としてのからだから解放されることによって獲得された能力です。

脳の自立性が高くなり、からだを省略して内輪ループをつくることができ、

横着して脳内だけで情報ループを済ませるのです。

これが「心」の実体です。

脳回路を身体性から解放した産物ですが、

この演算こそが、いわゆる「考える(考えすぎる)」ことにつながり、

想像に過ぎないものがあたかも現実のように迫ってきて不安に…

そんな経験ありませんか?

 

心身共にご機嫌に過ごすために

脳とからだの密接な関係をうまく使うには、

からだを動かす経験を重ねることが一番大切

ではないかとわたしは考えています。

ヒトの脳はからだの省略という美味しい「芸当」を覚えたがゆえに、

身体性を軽視しがちです。

からだを動かさずに、頭の中だけで済ませたほうが楽なのはよく理解できます。

しかし、脳は、元来からだと共に機能するように生まれたものです。

手で書く、声を出して読む、散歩する…いきいきとした実体験が、

脳機能に強い影響を与えると感じています。

ローマの詩人ユウェナリスは

「健全なる精神は健全なる身体に宿る」

という名言を残しています。

昔はからだを脳の上位に置いていました。

後年にデカルトやフロイトなどの精神を強調する時代が来て、

現在では脳をからだよりも上位に置くことが多く見受けられます。

そんな今だからこそ、からだと脳のバランスの面白さ・大切さを

日々感じて生活したいものです。

何よりからだと脳が繋がっている状態は、気持ちが暴走せずに、

心がとても安定します。

人間の肉体は一つの大きな理性である ニーチェ

 

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