こんにちは。院長の小澤です。
今年はコロナ禍でいつもとは違う、
意外なものが飛ぶように売れたそうですが、
その中の一つが「健康・運動器具」だそうです。
今春の緊急事態宣言を受け、運動不足解消に
ランニングやYouTubeなどで動画を見ながらエクササイズ
といった習慣を、今も上手に続けられている方が多いですが、
そのアイテムとして、私が今年患者さんや友人たちに
一番おすすめしたのが
「フォームローラー」「グリッドローラー」「筋膜リリースローラー」
などと呼ばれるこの器具。
筋膜をはがすためのエクササイズ器具です。
*以後ここでは、「グリッドローラー」という名称で統一します
グリッドローラーの上に、腰やお腹やふくらはぎなど
疲れを感じる部位を乗せて転がすことで、
筋膜をはがし、血行の不順が招く身体の不調を
改善していくことを目指します。
毎日のデスクワークやPC作業、立ち仕事、
家事、育児での無理な姿勢や凝り固まった身体のメンテナンスに対し、
改善効果が大きいことはもちろんですが、
筋膜にアプローチすることで、からだの歪みが整ったり、
筋肉を緩めるよりもストレッチ効果が高いことが
わたくしが皆さんにお勧めしている理由です。
当院でも大活躍のグリッドローラー。
特に、恒例のスロージョギング前は
必ずゴロゴロと下半身を中心によく伸ばします。
筋肉と筋膜の違いや、グリッドローラの使い方を
今回は熱くお話したいと思います。
筋膜とは?
筋膜とは、筋肉や臓器、骨など体を構成する要素を
すべて包んでいる膜のことです。
筋肉の伸張を助けたり、筋肉の形状を保ち、
内臓などの内部器官の位置も固定する役割を持ちます。
筋膜がないと人間は今の形を保てない
というほど 、重要な組織。
鶏肉を調理する際の皮と肉の間の白い膜・・・
あの薄く白い膜が筋膜です。
筋膜自体は、
・85%の水分
・2種類の線維状タンパク質(コラーゲンとエラスチ)
で構成され、網の目のように張りめぐらされてできています。
筋膜は柔らかい組織なので、縮んだり、よじれたりしやすいという
特徴を持っています。
筋膜は巻きつくようにつながって全身を覆っているので、
どこか一部にねじれが生じると連鎖反応を起こし、
徐々に広がる傾向にあります。
柔らかく全身を覆っていますが、ねじれると一気に固くなります。
筋膜が固まるとからだのコリや痛みの原因となるとされています。
筋膜をリリースする有効性
筋膜を”押して伸ばす”ことで血液の流れを良くしたり、
からだの柔軟性を高めることに繋がります。
これを筋膜リリースと言います。
従来のストレッチと筋膜リリースは別物です。
先程お話した通り、
筋膜は巻きつくようにつながって全身を覆っていることから、
例えば首に筋肉のコリや痛みがある場合、
腕や関節といった痛みを感じる部位の周辺の筋膜を
リリースして症状を緩和できます。
肩の痛みも同様です。
脇の下や腕の筋膜リリースで改善が期待できます。
当院の施術でもよく使う「連鎖反応」。
例えば左足首付近の不具合が右肩へと影響します。
この場合、「右肩の異常」とみなして施術ポイントを肩はせず、
実際には、遠く離れた左足を施術することで、
右肩が楽になるケースは少なくありません。
また、腰の筋膜の異常が首の痛みになって現れる症例も
多くあります。
どこか一部に筋膜のねじれが生じると連鎖反応を起こし、
徐々に痛さやコリの部位が広がっていきますから、
筋膜リリースによるケアを定期的に全身の範囲で行うことは、
からだ全体を改善する上でとても有効です。
コリや痛みの改善のみならず、
筋膜リリースができれば筋肉ストレッチ以上の柔軟性や
パフォーマンスが上がるとされています。
筋膜リリースのメリット
・筋肉が柔らかくなりケガが減る
・可動域が広がり筋肉に効かせやすくなる
・肩こり・首こりの改善
・腰痛の緩和
・疲労回復が早まり身体が楽になる
・筋肉の代謝が上がりダイエット効果に繋がる
筋膜リリースすることが、
からだにも内臓にも効果的な理由は、
最初にお話した通り、
筋膜が筋肉や臓器、骨など体を構成する要素を
すべて包んでいる膜だからです。
1 .血管やリンパの流れ改善
筋肉周辺にはリンパや血液が非常に多く、
筋膜と筋膜が癒着することによってリンパや血圧が圧迫され、
血流不良を起こします。
筋膜リリースをすると、リンパや血流が良くなることで、
むくみや冷えの改善、筋肉の痛みを感じなくなることによって
からだが軽いと感じる効果などが期待できることがメリットです。
2.美容・ダイエット効果
お尻や背中、太ももといった部分の筋膜リリースをすれば、
部位ごとの血流が促進されることが特徴です。
さらに、筋膜リリースをした部分が動かしやすくなり、
これまでと同様の動作であっても
大きな動きができるようになるため周辺の脂肪燃焼を促進され、
ダイエット効果も期待できます。
3.スポーツのパフォーマンスアップ!
ダンス、スポーツなどでは、
全身を動かせるように可動域を広くすることや、
体重を支えたり飛ぶ走るといった筋力の強さが必要です。
筋膜リリースをすると体の可動域が広がり、
筋力を十分に使えるので
パフォーマンスが向上する効果が期待できます。
ストレッチや筋トレを行いすぎて体が疲れている場合には、
筋膜と筋膜が癒着して正常な力を使えません。
スポーツや筋トレを熱心に行う時ほど、
筋膜を正常に整えることがとても大切です。
4.運動後の疲労回復の効果が上がる
筋肉は筋内膜、筋外膜、筋周膜の3種類の筋膜に覆われており、
筋肉が固まっている部分、重なってる部分があります。
長時間同じ姿勢で過ごしたり運動したりすることによって
水分が失われて、その筋膜同士が癒着し、筋肉の動作の妨げになります。
つまり、筋膜が癒着することで運動機能が低くなり、
筋トレの効果が十分に発揮できなくなる可能性があります。
そのため、筋膜リリースを行い、
筋トレをする前に筋肉をほぐすことが重要です。
さらに、疲労回復については、
癒着した部分のリンパや血液の血行不良によって、
老廃物や疲労物質が蓄積することが、
痛みやコリの原因と考えられます。
筋膜リリースで老廃物の排出を促すことによって、
高い疲労回復効果を得られるでしょう!
5.柔軟性改善・ケガの防止
筋膜リリースをすると筋肉の収縮が向上し、
筋肉と筋肉の癒着が剥がれることによって動きが滑らかになります。
そのため、体全体の柔軟性が向上し、
関節や手足の曲げ伸ばしといった可動域が広がる効果が期待できます。
より高い効果を得るために気をつけたいこと
筋膜について、筋膜リリースの有効性など
ここまで熱く語ってきましたが、
一つ大切なことを言い忘れておりました。
…筋膜リリースは、痛いです。
筋膜が柔らかければ、とても涼しく、かっこよくリリースできますが、
こっていたり、バランスが崩れている状態で行うと、
グリッドローラーが動かせず固まったり、
痛すぎて笑ってしまいます。
この痛みが徐々に和らいでいくと、
かなりリリースがはかどります。
刺激的な分、
効果を得られるようにポイントを押さえて行いましょう。
1.無理をせず、ゆっくり行うこと
筋肉のコリや痛みといった症状が続く場合には、
一定期間筋膜リリースを継続して行うことが重要です。
すぐに効果を得られると考えず、焦らずに実施しましょう。
1度に長時間筋膜リリースを行うと、
筋肉に負担がかかるため注意が必要です。
15秒程度を1セットとして、
一部位は4セット前後を目安に行います。
継続して行うことで、
体質そのものを改善する効果も期待できるでしょう。
2.「痛気持ちいい」程度にすること
筋膜リリースをした際、極端に痛みを感じる際には、
体に負荷がかかりすぎている場合があります。
その加減がとても難しいのですが、
筋膜リリースは、
「痛いけど、気持ち良い」
「痛いけど、効いている感じがする」
と感じる加減で行います。
筋肉が萎縮している部位を伸ばす際には力を入れず、
極端に痛すぎない力加減で行うことが重要です。
3.どの部位が固いかを意識する
痛みのある部位は筋膜が萎縮している箇所であり、
周辺をメインに筋膜リリースを行うことで
効率的に効果を得られる可能性が高いです。
痛みがある箇所を意識することによって
的確に筋膜リリースを行えるため、
痛む部位を明確にすることがとても重要です!
4.呼吸を意識しながら行うこと
筋膜リリースをする際には、
ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐いて呼吸をしましょう。
呼吸そのものよりも、
ゆっくりと呼吸をすることで
動きも同時に滑らかになることがポイントです。
適度な力加減でリラックスしながら行えるため、
より効率的に効果を得ることにつながります。
5.安定した場所を選ぶこと
筋肉が固くならないように、
体を曲げ伸ばしできる余裕のあるスペースで行うことが重要です。
狭い場所で行うことで姿勢が悪くなると効果が半減するので、
リラックスしながら行える場所を確保しましょう。
実際に筋膜リリースをしてみよう!
スロージョギング前にいつも行う、筋膜リリースの
動画を取りましたので、ご参考までに掲載します。
通常は下半身のみを行っていますが、
せっかくの機会です。
今回は上半身の筋膜リリースにも挑戦しました…
とても刺激的でしたが、終わった後はスッキリ!
筋膜リリースは比較的短時間で行え、
効率よくからだが整うのが最大の魅力です。
初めて行う際には痛みの加減や当たり具合など
コツが必要ですが、
継続して行うことで、柔らかくなり、疲れ知らずの
からだが変わっていくのが実感できますよ。