痛みの原因を知るうえで「トリガーポイント」はとても重要なキーワードになってきています。
腰痛で様々な病院で診察を受けるとヘルニア、分離すべり症などによる腰痛、坐骨神経痛などと診断が下りることが多いです。しかし、ブロック注射や患部の手術などの治療を受けるも症状が改善しないことがあります。
この場合は「トリガーポイント」による筋筋膜性(きんきんまくせい)の痛みが原因であるケースが多くあります。
トリガーポイントとは
トリガーポイントとは医学上の定義では「過敏化した侵害受容器」いわれています。分かりやすくいうと「痛みの引き金になるポイント」です。
首や肩、背中や腰、おしりなどの筋肉は、「不動」もしくは「使いすぎ」によって疲労や血行不良が続くと、ロープ状に強く緊張して硬いこわばりができます。
これを「索状硬結(さくじょうこうけつ)」といいます。
この索状硬結の中に、特に硬く、痛みを発するしこりが出来ます。これが「トリガーポイント」です。
この「トリガーポイント」が痛みやしびれ、筋力低下などの症状を引き起こすのです。
※この症状を「筋筋膜性(きんきんまくせい)疼痛(とうつう)症候群」と言います。日常的に使われる用語としてまだ馴染みがなく、単に「筋痛症」とも呼ばれることがあります。
「トリガー」とは「銃の引き金」という意味です。
この名前の由来は、「トリガーポイント」はその周囲だけではなく、そのポイントから離れた部分にも痛みやしびれ、重だるさなどを発生させる特徴を持つことからきています。このポイントから離れた部分に起こる痛みを「関連痛」といいます。
トリガーポイントがよく発生するのは筋肉が骨に付着する部分、筋肉と筋肉が連結する部分、その他力のかかりやすい部分などです。
例えば、首や肩のこりが原因となる頭痛があります。
これは首肩の筋肉のコリが「トリガーポイント」となり、それが原因で頭部に「関連痛」として頭痛が出ている状態です。
このようなケースでは、鎮痛剤を服用しても治らなかった頭痛が、首肩のコリをゆるめることで解消します。
「トリガーポイント」がなぜできるかは、上記の「索状硬結」が大きな原因であると言われていますが、正確には分かっていません。
ただ、加齢よってからだ全体の水分が減ることで、筋膜が癒着しやすくなることから、40代以降トリガーポイントが出来やすい傾向にあります。
栄養状態や糖質の過剰摂取も、筋膜の癒着に関連の可能性があると指摘されています。
腰や足の痛みやしびれを起こす「トリガーポイント」はたくさんあり、「トリガーポイント」施術は腰痛や坐骨神経痛にとりわけ有効と言われています。
また、次のような場合も、椎間板ヘルニアや脊椎分離症・すべり症などではなく、「トリガーポイント」が原因かもしれません。
- 腰やあしの痛みかしびれ、またはその両方
- 狭窄やヘルニアなどがあっても、軽度なので経過を見ましょうと診断された。背骨には特に異常が見つからない。
- 日によって症状の良い日と悪い日がある
- 感覚麻痺はない(感覚は正常、鈍いちころがあっても軽度)
- 運動麻痺はない(足など多少力が入りづらくとも麻痺はしていない)
- 排尿や排便に異常はない
トリガーポイントを意識したストレッチの例(ストレッチポール使用)
1.腰のトリガーポイントをゆるめる
脊柱起立筋のトリガーポイントは図のようにおしりにあります。ストレッチポールをおしりの下に入れ、小刻みにコロコロ転がします。
2.ハムストリングのトリガーポイントをゆるめる
ハムストリングのトリガーポイントは、おしりもしくはひざにあります。ストレッチポールをそれぞれの部位に入れ、広範囲にコリを探してゆっくりほぐします。
3.小殿筋のトリガーポイントをゆるめる
小殿筋のトリガーポイントは、
・坐骨神経痛で痛むおしりの中央部
・太ももの裏側
・太ももの外側~足首にかけて
と、広範囲にあります。
ストレッチポールをももの外側と内側に当てしっかりほぐします。ひざの下に入れると、同様におこなえます。
からだの痛みに悩む方も当院でケアをされています
トリガーポイントそのものだけではなく、痛みのある部位をかばうことでまた固くこわばった筋肉を一緒に緩めることも大切です。
トリガーポイントによるからだの痛みに悩む方に多く見受けられるのは、股関節の固さです。
当院では痛みの原因になっているトリガーポイントと股関節の関連性を見つけ、からだのバランスを取ることで、快方に向かうお手伝いをさせて頂きます。