こんにちは。院長の小澤です。
前回のブログでも触れましたが、
当院の現在のブームは「心拍数」を計ること。
2年前の8月から始めた「スロージョギング」に
最近は当院の看板犬ウィル
(イタリアングレーハウンド♀ 1歳2か月)
も加わって、
駒沢公園のランニングコースを5キロほど走ることが増えました。
(集中力を切らさずに、ほかのランナーに交じって黙々と走る
ウィルはとても頼もしいです)
ウィルのリードで走ると、おのずとスピードが上がります。
1キロあたりおおよそ30秒ほど早くなると
最初はかなり息が上がり、
「ニコニコペースで走るスロージョギングの掟を守れない!」
と思っていましたが、ある時を境に
「あれ?息が上がらなくなってる…」。
何が違うのかを走りながらからだをよく観察すると…
心拍数が上がりにくくなっている!!
ということに気が付きました。
安静時心拍数の目安は
【~59拍/分】アスリートやスポーツマン
【60~80拍/分】一般の方
【81拍~/分】体力不足、体調不良など
スマートウォッチを購入・装着して分かったことは、
走っているときに
心拍数が上がりにくくなったことはもちろんですが、
通常心拍数も下がります。
(私たちはおおよそ平均5~8拍下がりました)
そして、
心拍数を気にしだしてからはじめて知りましたが、
心拍数はその日の自分の体調をものの見事に反映します。
ちょっと調子が上がらないと感じる日は
安静時の心拍数がいつもより10拍ほど高かったり、
ゆっくり走っているのに心拍数がいつも以上に上昇してしまったり。
緊張やストレスによっても高くなります。
心拍数=心臓が一回の収縮で血液(酸素)を全身に送り出す回数
つまり運動によって心拍数が低くなるということは、
【一回のポンプ作業によって運べる血液量が増えた】
ということ。
いわば、心臓はクルマにおけるエンジン(排気量)みたいなものですね。
私にとっては
心臓バクバクの全力疾走(最大心拍ゾーン)だったとしても、
さらに鍛えているランナーにとっては全くの余裕で、
心拍数も低いまま安定しているとしたら、
より大排気量のエンジン(と相応しいからだ)を備えている
というわけです。
では、より走り込めば心拍数は下がるのか?
となると、そこは違うようです。
強い負荷を掛けるトレーニングは週に2~3回にとどめ、
残りは強度が低いメニューや休養(回復)に費やす。
毎回ハードな練習を行うと、
筋肉や心肺が回復しないまま次の練習を迎えることになり、
パフォーマンスを高めるための練習ができない
ということのようです。
確かに、かなりスピードを上げて走った後は
心拍数が低い状態に戻るまでより多くの時間が掛かり、
体が休息を求めていることがよく分かります。
「回復にあてる時間」も、成長する上でとても大切というわけです。
ランニングに限らずスポーツ全般、
より上達するために筋肉をつけるトレーニングと並行して、
心拍を知り、鍛えていくこともまた、
引けを取らないくらい大切な要素になることを実感しています。
さらに、心拍を意識して鍛えていくと、
日常生活の質も上げていきます。
疲れにくいからだに。
痩せやすいからだに。
正常時の心拍数を下げることももちろんですが、
心拍数の振り幅を少なくすることも大きなポイントです。
不整脈の一種、
拍動が異常に遅くなったり、間隔が長くなったりする
「徐脈」も、
心電図の波形は正常で、心拍数だけが遅くなっている状態の
洞徐脈であれば、
心拍数を意識しながら運動で負荷をかけて、
心拍数の振り幅を少なく
(一気に上がってしまう場合は、その直前の運動量や速度でキープ)
することで、徐脈によくみられる
むくみやめまいを軽減することができます。
ダイエットの目標心拍数は、
有酸素運動で効率よく脂肪を燃やすのに
最も効率的な拍動数、
最大心拍数の60%が良いとされます。
ダイエットの目標心拍数=208-(0.7×年齢)×0.6
この値が1分間の目標心拍数です。
【47歳の場合】208-(0.7×47)×0.6=105.56
「208-(0.7×年齢)」
は最大心拍数を出す計算式です。
最大心拍数とは、どこまで心拍数を上げられるかの最大値。
この数値をもとに、トレーニング内容や目的に応じて
“目安となる心拍数”を算出します。
先ほど、ダイエットにお勧めの目標値を出す際には、
「最大心拍数×0.6」で計算しました。
脂肪燃焼には最大心拍数の60%くらいが適切、ということです。
心拍ゾーンのモデルにはいろいろありますが、
よく用いられるのは、
心拍数モニターメーカー『Polar』が1970年の研究に基づいて作ったモデル。
このモデルには
「とても軽い」「軽い」「適度」「ハード」「とてもハード」
という5つの心拍ゾーンがあります。
心拍ゾーン1【 体力回復や生活習慣病の改善】
とても軽い=最大心拍数の50~60%
心拍ゾーン2【 脂肪燃焼や持久力アップ】
軽い=最大心拍数の60~70%
心拍ゾーン3【 有酸素運動の能力アップ、持久力アップ】
適度=最大心拍数の70~80%
心拍ゾーン4【 筋力や運動能力アップ】
ハード=最大心拍数の80~90%
心拍ゾーン5【 瞬発的な運動能力アップ】
とてもハード=最大心拍数の90~100%
日頃のウォーキング、踏み台運動、ジョギングなど
心拍ゾーンを意識してペースや時間を決めて行うと、
より効果的な運動になります。
例えばマラソン・ジョギングだと、
〈ゾーン2〉なら90分以下のランニングに最適。
長時間ゆっくり走ることで、
長距離ランに向けて有酸素機能が整えられます。
このゾーンで練習すれば体が脂肪をエネルギーとして使うようになるので、
ダイエットにも効果的。
ハーフマラソン以上の距離を走るなら、
トレーニングの8割を〈ゾーン2〉で行うことで、効率よい運動になります。
〈ゾーン3〉は30~45分のテンポランに最適。
スタミナづくりや有酸素能力の強化には、〈ゾーン3〉が最も効果的。
〈ゾーン4〉は「LT値」(乳酸性作業閾値とも呼ばれるもので、
そこから急激に乳酸が溜まり始めるポイント)を高められます。
乳酸が溜まると足が疲労してくるため、
体が糖質を効率的にエネルギーとして使えるようにする必要があります。
パフォーマンスとLT値を高めるトレーニングは
〈ゾーン4〉が最適です。
〈ゾーン5〉は5分以下のハードなインターバルトレーニングに向いています。
ハードなインターバルトレーニングは、
最大心拍数の維持や向上に役立つため、
レース本番などで自分を厳しく追い込めるようになります。
…という具合です。
ご自身の心拍数や、日頃の運動でどのくらいの心拍数になっているか、
知りたくなってきませんか?
数値だけを追いかけることはあまり好まない性分ですが、
目安や進歩が数値として分かることで、
わたくしもトレーニングがさらに捗っています!
心拍数を知り、強化することで
「強いハートを手に入れる!」。
運動強度だけではなく、どれだけその運動を楽しめるかも
大きなポイントです。
心身ともに成長できる好みの運動を、一緒に楽しみましょう!