院長のブログ

みぞおちから胸部(鎖骨下)にかけての痛み。長年続いた痛みが改善した女性(35歳)の患者さんの実例

患者さんのプロフィール

35歳女性(会社員)。

高校生時代から、何かの拍子にみぞおちから胸部(鎖骨下付近)がズキッと痛むことが悩み。ひどい時は息を吸う度に痛む。レントゲン撮影や心電図検査をしても異常なく原因がわからず。

自然と治るのでそのままにしてきたが、5年前から症状が頻発するようになる。突然起こるので、趣味のジョギングやウォーキングをすることも億劫になってしまい、からだを動かす回数が減る。そうすると益々症状が出やすくなっている気がして、気持ちが滅入ってしまう。

来院のきっかけ、理由

1.みぞおちから胸部にかけて突然痛む

長時間のデスクワークが続くと痛む確立が高い気もするが、突然痛くなるのが長年の悩み。様々検査するも原因が分からず。

30歳を過ぎてからここ5年は痛む頻度が高くなった。痛みがひどい時は、息を吸う度に痛くなる。最近ではラーメンをすするのが痛んで困った。数日痛み、気付くと治る。

2.極度の首、肩こり

社会人になってから慢性の症状。首肩の付け根から肩甲骨にかけてがバリバリに張った感じ。呼吸が浅くなる。

3.左股関節が固い

左足の方が短く、あぐらをかくと左股関節が開かずに左膝の方が高くなってしまう。ジョギングやウォーキングの後には股関節の他、左尻と左大腿骨が痛むことがある。

当院の見立て

「2.首・肩こり」について、左肩甲骨から肩甲挙筋にかけて極度の固さがあり、この部分の筋緊張が鎖骨下筋を圧迫してしまい、「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」の原因になっているととらえる。

「3.左股関節が固い」状態によって普段から左体側が伸びきらないことで、運動後に左大腿骨際が痛むのではないか。左臀部の痛みは左股関節の固さとの連動と見立てる。

左股関節の固さにより、バナナ状に左体側が縮こまっており、それによって背中や肩甲骨が機能しにくくなると、「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」症状が出ていると見立てた。

実際に行った施術

背面側

・脊椎の際を入念に緩めたのち、左肩甲骨と左肩甲挙筋を入念にほぐす。
・風池(ふうち)穴の固さを緩め、首の緊張を取る。

・左坐骨神経と左大腿骨の際周辺の筋緊張を取ることを目的に、左梨状筋をゆっくり押圧する。

・右起立筋を入念に緩め、左右バランスを整える。

表側

・狭くなっている左股関節の可動域を広げるため、左膝を抱えるようにストレッチし、そのまま内側へ倒して大腿骨際をよく伸ばす。

・左下腹部も股関節とセットで緩める。多少冷えあり。

・左鎖骨下の極度の固さあり。左胸鎖乳突筋と共に筋緊張を取る。

横向き(体側)

・左側骨盤の開きが大きかったので、左大腿骨の際~左脚外側のラインをゆるめる。

・左脇下から肋骨周辺の筋肉をよく伸ばす。

・左恥骨結合部周辺の固さと冷たさあり。左内転筋群と共に弛緩させる。

施術の結果

結果、2週間に1度、計4回ご来院で・・・

「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」は全く出なくなる。

「2.極度の首・肩こり」は日によって気にならなくなる程度まで緩和。

「3.左股関節が固い」症状は、座位にて両足裏をくっつけて股関節を開いた際に、左右の膝の高さが一緒になる。

若干左股関節の開きにくさは残るが、内転筋群をストレッチすると柔らかく伸びる。

主な変化は以下の通り。

・2回目:

初回施術翌週にジョギングをし、足の運びがとてもスムーズに出来ることに驚いた。長く走っても左股関節が全く気にならなかったので張り切ったせいか、翌日の筋肉痛がいつも以上にひどかった。ただ、左尻や左大腿骨は全く痛まず。

筋肉痛と共に「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」が出かけたが、左体側と左股関節をよく伸ばしていたらいつの間にか違和感がなくなっていた。

初回に押圧された時よりも、全体的に痛みが少なかった。筋肉が緩んでいることを実感するも、「2.極度の首・肩こり」はあまり変わらず。

・3回目:

長時間のデスクワークが続いたが、呼吸が浅くなり苦しくなる感じが出なかった。「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」が出ないかとひやひやしたが、大丈夫だった。いつも生理が来ると頭痛があるが、今回は痛まず。

・4回目:

施術後に、首から肩にかけて筋肉痛のような痛みが出たが、その後「2.極度の首・肩こり」の頻度が減った。「3.左股関節が固い」症状が緩和してジョギング後の痛みがなくなったので、からだを動かす回数が増え、全身がこる感じはなくなった。

※以後も2ヶ月に一度のご来院を続けて2年経過時も「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」症状は一度も出ず。

まとめ

・左肩甲骨から肩甲挙筋にかけての極度のこりが、鎖骨下筋を圧迫してしまい、「1.みぞおちから胸部にかけての痛み」の原因になっていた。呼吸が浅く感じることも胸周りが広がらず、首が前方へ出るような姿勢になってしまっていたため。この姿勢が「2.極度の首・肩こり」の原因にも繋がる。

・「3.左股関節が固い」状態によって普段から左体側が伸びきらないことで、左肩甲骨から肩甲挙筋にかけての筋緊張が余計にひどくなり、「1」の症状が出やすくなっていた。

・「3.左股関節が固い」ことで左骨盤が大きく開き、左大腿骨周りや臀部の筋肉をうまく使えず。よって運動後に左大腿骨際や左殿部が痛んでいた。

・生理時の頭痛が緩和したのは、首回りの筋肉が弛緩したことに加え、股関節が緩んだことで生理周期が安定したから。PMS(月経前症候群)の症状自体も緩和したとのこと。

院長からのコメント

肩甲骨や背中の極度のこりから、みぞおちや胸周りが締めつけられるように痛むという症例は多く見受けられるものです。

今回のケースは股関節の固さや骨盤の開きによる全身バランスの崩れが発症の頻度を上げていました。

「30歳を過ぎてから、痛むことが多くなった」というのがご来院のきっかけでしたが、ジョギングで十分におからだは動かせており、運動後のストレッチやご自身の体癖(たいへき:からだの使い方の癖)をご理解されてからはみるみる不調が改善されました。

からだの不調を感じた時、「年齢」と「外的ストレス」という二大理由を並べては諦めてみたり、印籠のように言い訳にして開き直ってしまったり・・・。

けれど、からだの不調でつまずいた時こそ、これから長く共に過ごす大切なからだを見直す絶好のチャンスです。

不調はからだのメッセージです。

からだと上手に会話をしながら、過保護にし過ぎず、疎ましがらずに使えるといいですね。

どうしてもからだのメッセージが理解できない時は、当院にて翻訳のお手伝いを承ります。そしてからだは会話して褒めてあげる程、快適になっていきます。バランス良く使えるコツを一緒に探してみませんか?

 

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