こんにちは。院長の小澤です。
今冬、当院の看板犬ウィルが寒さによって
「寒冷凝集素症」を患いました。
https://kai-iak.sakura.ne.jp/ozawa-blog/kanreigyoushuusoshou-dog/
血行不良によって起こる「寒冷凝集素症」。
耳のマッサージが良いとされ、積極的に行った際、
リンパ節へ向かってマッサージを行いました。
リンパ節
・細菌、ウイルス、いらなくなった細胞成分を処理する機能
・免疫機能
これらが効率よく作用するために、大切な役割を担うもの
毛細リンパ管は、いくつもが集まって合流し、
静脈に注ぐゴール部分まで徐々に太くなっていきますが、
途中の合流地点は実にたくさん(数千ともいわれる)あり、
そこにそら豆のような形をした「リンパ節」という場所があります。
リンパ節には、「リンパ球」「マクロファージ」などの
免疫細胞がぎゅっと集まっています。
リンパ球が異物を発見すると、
リンパ節で異物を濾過したり、免疫細胞で攻撃したりして、
血液へ侵入するのを防いでくれます。
リンパ管を効率よく動かし、リンパ節が作用することが理想ですが、
リンパ管には、血管にとっての「心臓」にあたるポンプ機能がありません。
リンパ管の原動力は
などが挙げられますが、
どちらも原動力としては安定しないため、
流れはゆっくりで、スピードも一定していません。
そこで「リンパマッサージ」の登場です。
体の外から刺激を与えて、
しっかりリンパ液を流すことで、
リンパ系の免疫機能をサポートできます。
看板犬・ウィルは耳の回復を促すためのマッサージでしたが、
筋肉が落ちてきているシニア期や、
運動量の少ない犬に
意識的にリンパマッサージをしてあげると健康に役立ちます。
今回は犬の体表リンパ節と
より適切なリンパマッサージ方法についてお話したいと思います。
体表リンパ節の位置・流れと施術動画
マッサージなどで私たちも触ることのできる
犬の体表リンパ節はこのような場所にあります。
それぞれ左右一対ずつあります。
犬のリンパ腫に最もよくみられるタイプ
「多中心型リンパ腫」は体表のリンパ節が腫れます。
通常は全身のリンパ節が腫れますが、
一ヶ所だけ腫れるということもあります。
体表のリンパ節の腫れは、場所を知っていれば、
早期発見につながります。
1.下顎リンパ節
あごの骨と首のさかい目あたり
人でいうと、下の一番奥歯のつけ根あたり
この周辺リンパ液が滞ると、
外耳炎や口内炎が治りにくさに関係することがあります
【下顎リンパ節への流れ】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/face.html
顔や頭のリンパ液は
基本的に毛並みに沿ってマッサージすれば
自然と合流地点であるリンパ節へと
流れていくようにできています
2.浅頸リンパ節
首と胸のさかい目あたり 人でいう鎖骨のあたり
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/neck.html#lymphatic
首の前面と後面、肩甲骨、脇の下あたりからリンパ液が流れ込み、
浅頚リンパ節で合流します。
【浅頸リンパ節への流れ~肩・前肢】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/shoulder.html
首の前面や肩甲骨上部のリンパ液は
首の付け根辺りにある浅頚リンパ節で合流します。
前足の前面のリンパ液も首に向かって流れ込み、
浅頚リンパ節で合流します。
3.腋窩(えきか)リンパ節
前肢付け根 ワキの下
ここでリンパ液が滞ると肩の痛みや、
足のむくみが出てくるようになります
また、呼吸により侵入したウィルスに反応するため、
風邪のひきはじめに痛みを感じることもあるようです
【腋窩リンパ節への流れ~背中】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/back.html
背中の肩甲骨に近いエリアにあるリンパ液は
首の根元にある浅頚リンパ節に合流し、
背中の腰に近いエリアにあるリンパ液は
脇の下にある腋窩リンパ節に合流します。
【腋窩リンパ節への流れ~胸・腹】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/breast.html
へそから上のリンパは腋窩リンパ節に合流します
4.鼠経リンパ節
後肢付け根 鼠径部
周辺リンパ液が滞ると
下半身や足がむくんで、下半身が太くなりやすいです
【鼠経リンパ節への流れ~胸・腹】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/breast.html
へそから下のリンパは鼠径リンパ節に合流します
【鼠経リンパ節への流れ~臀部・後肢】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/hip.html
下半身におけるリンパ流はやや複雑です
5.膝下リンパ節
太もものうしろ 膝の裏側
周辺のリンパ液が滞ると足や膝が痛み、
足のハリがなく押しても弾力がなくなります
【 膝下リンパ節への流れ】
引用 https://www.koinuno-heya.com/massage/hip.html
下半身におけるリンパ流はやや複雑です